Filmarksオンライン試写会にて鑑賞。
実際にあった事件をもとにした作品だそうで、前半は高校に世話された実習先で理不尽な扱いを受けて追い詰められていう少女を、後半は少女の死を深掘りしていく刑事を描くという構成になっている。
派手な演出やドラマチックな展開は何もない。ただ、淡々と映し出されていく状況があまりに辛く、こちらまで真綿で首を絞められていくような感覚に陥るほどだった。
一転、少女の境遇に憤り突き進む刑事の姿には希望を感じることができる。しかし、世の中は単純な勧善懲悪で片付けられはしない。自己保身に走る者、苦しみ悔いながら生きる者など様々だが、「少女を救えなかった」という現実はどこまでも重くのしかかる。
同じ悲劇を生まないためには、怒るしかない。この映画を観て憤り、世の中が腐っていると社会が自覚しなければいけない。そんなシンプルな義憤を感じる誠実な良作。