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あしたの少女のkazuoのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
4.0
学校から紹介された大手企業の下請けのコールセンターで実習生として働いていた高校生(ソヒ)が何故自死に至ったのかを描いた実話ベースの作品。

前半は実習生として働いていたソヒがなぜ自死に至ったのかが丁寧に描かれ、後半はペ・ドゥナ演じる刑事がその真相を追求する。
実話ベースの社会派作品なので嫌な展開の中、鬱々と映画は進行して行く。あらすじでこれから起こる事が分かっているので、かなり辛い気持ちでソヒを観続ける事になるが、そんな中ぺ・ドゥナ演じる刑事の時折見せる感情的行為が唯一観ている者の溜飲を下げる。しかしそれは決して問題の解決に至る事や、ソヒが救われるわけでもなく…

学校における就業率や仕事におけるノルマなどの成果主義がもたらす悪影響や実習生に対する搾取など、問題が分かっていながら抗う事の出来ない社会のメカニズム。
映画はパーソナルの問題ではなく社会の構造を問題視する。
人間のためのメカニズムがいつの間にかメカニズムに人間が取り込まれて行く。
そして大人は自分以外を原因にして責任を回避しようとし、同級生など寧ろ思いやっていた罪の無い者が罪悪感に苛まれる…

社会派の多くの人に見て欲しい良作。
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