矢野竜子

あしたの少女の矢野竜子のレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
3.7
PERFECT DAYSの対極にあるような作品。
労働はやはり尽くクソでしかないと年末年始に思う。
ひたすら人権を無視され企業と学校の間で
押しつぶされ亡くなった少女が空から
降る雪を見上げるカットが2回登場する。
1回目は街灯のオレンジの光に照らされながら降る雪、
2回目は曇天の空から降る雪。
この2回目のカットの後、少女は自殺してしまうわけだが
1回目は上空が映されておらず、
2回目は上空が映されている。
この「上」の存在は第二部の刑事パートにおいては
自殺が起こった原因を調査していく中で
全く太刀打ちができない社会構造の闇として変奏されていく。
悪夢のように何度も何度も数字や文字で管理される人間たちが
それとなく大量に登場するのが恐ろしい。
ラストの携帯を見るカットも
冒頭の変奏となっているのも特徴的。