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同じ下着を着るふたりの女のkazuoのレビュー・感想・評価

同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)
3.6
娘を愛さないシングルマザーと、その彼女に愛されずに育った20代後半の娘の関係をリアルに描いた作品。

序盤、娘をカっとなり車で轢いた行為やその後の態度、娘を罵倒する姿は毒親そのもの。だから娘に肩入れして観ていたが、学生だと思っていた娘がもう20代後半の社会人で、母親に不満があり関係が悪くても家を出ることなく一緒に暮らしている事や同僚に対しその依存的体質が露見すると、娘の行為や思考にも問題がある事が判り観点も変わる。
娘に関して環境的要因があるから、の見解をするも映像化されていないから判らないだけで母親もその可能性が充分ある。これは負の連鎖?

2人に共通する事は自分しか見ていない事。自分の行為が相手にどのような影響を与えているか、その考察が2人には全く見えない。特にそれぞれに対してはそれぞれの行為を相対的ではなく絶対的に捉えている。だからコミュニケーションが変わる事なく確執は続いて行く。

このような問題に関与する事は非常に難しい事をこの作品では同僚の苦難として現されている。だから個人が容易に手を差し伸べる事は出来ない。

あまりにもリアルに人間を描いている今作は観ていて不快にもなり決して心地は良くなかったが、一見の価値がある作品。
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