このレビューはネタバレを含みます
観てみたいと思わざるを得ないタイトルとビジュアルデザインに惹かれた。
もっとB級よりの映画だと思ったが、思ったよりもサスペンスで、社会批判要素もあり、人間の怖さが描かれていた。
少し80年代の邦画の様な空気も感じた。
前衛的で即興的な音楽が今観ても斬新で、だんだん慣れてきて、いつの間にか惹かれていた。
犬が亡くなるシーンが悲しかったが、その後に、彼らが犬の死を悲しむ姿は撮られていない。
終盤に、鶏を捌く労働者が撮られていて、労働者たちは機械化される事で自身の仕事を失い「人でなし!」と怒っていた。
だが、犬の死を悲しまない彼らと鶏を捌いていた彼らと、一体何が違うのだろうか。
はたまた、意図的な突然変異から、鶏を効率的に生産しようとする科学者や協会の彼らと、それに反対した犬の死を悲しまない彼も、一体何が違うのだろうか。
人間の恐怖と愚かさが描かれている。
ただ全体的に荒削りで、勢いで撮った感が強い。
若い二人が、妻を殺害してまで、相続を狙っていた事は予想外で良かったが、気になる設定はいくつか残ってる。
ビジュアルデザインのシーンなんて記憶を遡った時のワンシーンでしか無かったし、突然変異した鶏をもっと映して、展開して欲しかった。
でも全体的には満足。
前編を通して、不気味でサイコな雰囲気が好きな人には堪らないと思う。鶏小屋の中で視野が狭くて全体が見えないシーンがホラーっぽくて良い空気だった。
急に入る謎のラテン音楽は、人間にとっては踊り出したくなるような明るい曲だが、鶏にとっては恐怖であるという設定だった。映画の中でも、まさにその役割を果たしていて、この後に何かあるに違いないと感じさせ、恐怖を増幅させていた。
映画館でなくては観ないかもしれない映画だったし、映画館だからこそ最後まで楽しめたかもしれないので、観て良かった。
以下印象的なシーンや、気になった事など
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⬜︎人工的な道路や自動車を切り取る冒頭のシーン
⬜︎パーティーで、密室で行われた謎のゲームは、人間がニワトリにやっている事を表しているのだと思うが、それがストーリーに影響していないのが残念。
⬜︎人間が踊りたくなるようなラテン音楽を嫌い、恐怖を感じる鶏。
⬜︎犬が亡くなるシーンが悲しかったが、彼らが、その後に犬の死を悲しむ姿は撮られていない。
・犬の死を悲しまない人々
・鶏を捌く人々
・犬の死を悲しまない人々
・鶏を効率的に生産しようとする人々
どこに違いがあるのか。
⬜︎記憶がなくなったフリ(?)をしている彼は、何だったのか?
⬜︎二股に分かれている道を探す男に、そんな道はないと答える妻だが、嘘だった?