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殺しを呼ぶ卵 最長版の一人旅のレビュー・感想・評価

殺しを呼ぶ卵 最長版(1968年製作の映画)
3.0
ジュリオ・クエスティ監督作。

独特の作風がカルト映画にジャンルされるジュリオ・クエスティ監督作品で、巨大な養鶏場を巡る一族の愛憎を描いたサスペンスです。

ローマ郊外で巨大な近代養鶏場を経営している異常性癖者の男マルコと、財産の総てを握っている妻アンナ、マルコの愛人でアンナの姪である若い娘ガブリ、ガブリの本当の愛人である若い宣伝マンら4人の男女が繰り広げる愛憎と陰謀の顛末を描いた世にも奇妙なジャッロもどきの“養鶏サスペンス”ですが、頭部と羽がない突然変異種の鶏の処遇を巡るマルコvs養鶏業界幹部の衝突も絡めて描いて、現代の資本主義と科学信奉&倫理の崩壊を風刺したちょっぴり社会派なテイストを採り入れています。

無数の鶏が徹底管理された鶏舎風景や全編を貫く独特の音楽が奇妙な味わいを生んだカルトサスペンスですが、お話自体はとっつきにくく万人受けする作品ではありません。それでも、主演のジャン=ルイ・トランティニャン、Wヒロインのジーナ・ロロブリジーダ&エヴァ・オーリンらが変人揃いの養鶏一族を個性的に演じていて、特に可憐なルックスとは裏腹に狡猾&強欲な姪っ子に扮したエヴァ・オーリンのファムファタール演技が輝きを放っています。
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