慢性眼精疲労でおます

ソウルに帰るの慢性眼精疲労でおますのレビュー・感想・評価

ソウルに帰る(2022年製作の映画)
4.0
救いがないように見えて救われる話だと思った。

フレディは生物学的な両親や出自が単に見せかけのしがらみに過ぎないと頭では考えながらも、感情がそれを全面的に肯定し難いために苦しみ、しかし最後にはそれらの一切から解き放たれることで、一時的には喪失感に打ちのめされるとしても、やがてピュアに他人と向き合えるようになると期待できるような、そんなラストだと受け取った。

そう考えれば、そこへ辿り着くまでに要する年数や破滅的な振る舞いは儀式のようなもので、無機質にも見える白い空間で孤独にピアノを奏でる姿は、保育器から懸命に這い出そうとする赤子のようにも見えた。赤子はそこまでアクティブじゃないだろうけど。