道草を配信している動画配信サービス

『道草』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

道草
動画配信は2024年4月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

道草の作品紹介

道草のあらすじ

画家の榎本道雄(青野竜平)は、日の目を浴びたキャリアもなく、ごみ収集のバイトで生計を立てている。しかし、そんな生活にも満足していた。ひょんなことから出会った富田サチ(田中真琴)はそんな道雄の絵が好きだと言い、二人は付き合い始める。幸せな日々がきっかけとなり、それまで思い描いたこともなかった画家としての成功を意識するようになっていくが、道雄の絵は売れない。焦燥感に駆られていたある日、道雄がごみ収集に向かうと自分の作風とは全く異なる激しいタッチの抽象画が捨てられていた…。

道草の監督

道草の出演者

原題
公式サイト
https://www.highendzworks.com/michikusa
製作年
2022年
製作国
日本
上映時間
122分

『道草』に投稿された感想・評価

よつ

よつの感想・評価

4.1
主人公の道雄はゴミ収集の仕事で生計を立てながら細々と絵を描いている。
絵で食っていくことは半ば諦めつつあったが、自分の絵を好いてくれる恋人と出会い、一念発起して絵を描き始める。
しかし一向に道雄の絵が売れる気配はない。
そんな折、道雄はゴミ捨て場でひときわ目を引く抽象画が捨てられてるのを見つける。出来心でその絵を持ち帰るが……。


道雄がクズすぎてむしろ好感持てる。
普通なら良心の呵責で一旦ためらいそうな場面も、迷わず突き進む!
そのおかげでテンポ良く進んで面白かった。

素朴で温かみのあるサチ(田中真琴)と、華やかだけど何処か冷たさを感じる麻美(Tao)の二人がどちらも美しく、かつシンメトリーになっていて良かった。

皆が絶賛する絵がゴミ捨て場にあったのも皮肉が込められてそう。
ゴッホの絵が生前は全く売れなかったように、本質と評価は必ずしも結びつかない。

私自身ごくまれに絵を描くことがあるが、「感情や光景を残したいと強く思った時に描きたい気持ちが湧く」という道雄の動機にはとても共感できた。

終盤の長回しはくどく感じたものの、メッセージも分かりやすく秀逸なプロットだった。
ぼさー

ぼさーの感想・評価

3.9
現代アートにも通じる示唆に富む作品だった。自分が価値を置くものとビジネス的な市場価値の対比を具象絵画と抽象絵画という切り口と二人の女性との恋愛模様を通して描かれる。

主人公の道雄は優しい笑顔の好青年として登場し素敵な恋愛模様として描かれるが、後半は誘惑に弱くだらしなくて煮え切らない性格の持ち主であることが露呈してちょっとショックだった。前半の秋晴れ日向のような雰囲気が心地よかったのに。。

****
道雄は自身の絵画作品ではなくゴミ捨て場で拾った抽象絵画作品を自身の作品と偽り販売。その作品が想定より高い価値がついてしまう。それを二度経験する。

この小話が現代アート的な示唆のある部分だと強く感じた。順を追って見ていこう。

①作者不明の抽象絵画が市場に出る
→ ②誰かが何らかの価値を見出してその作品を購入する
→ ③後にその購入者は見出していた価値を放棄し無価値と考える
→ ④無価値とみなして他の人に譲るのではなく廃棄すなわち作品の破壊(焼却処分)を意図する
→ ⑤道雄がそれを破壊から救い、自身の作品と偽って再びアート市場に復帰させる
→ ⑥アート市場で新たな価値を見出す購入者が現れる

以上の流れの中に、次のような幾層にも連なる問題をレイヤーとして見出して提示することができ、そのことを以って現代アート作品として仕上げることができそうである。

・モノや価値を安易に消費する社会
・二次流通させずに簡単に廃棄する社会
・ゴミとして捨てられたモノは誰のものか?それを拾って所有することで所有者移転できるか?という考え方と国内法の考え方
・作品そのものではなく作者に価値を置く態度への批判
・作者を偽る行為、何らかの情報を偽る行為、すなわち「フェイク」という現代の情報化社会にはびこる問題
・そもそも芸術作品の価値とは?
…などなど。

道雄は残念ながら現代アートに馴染みがなさそうなので、ゴミから拾った作品に高値がつくことの面白さや皮肉さこそが現代アート的な価値になることを見出せない。

しかし道雄は自分の趣味ではない抽象画を描くようになり、皮肉にもその後ろ向きでネガティブな動機が作品のパワーとして評価されてしまう。そういう背景を持って作られる抽象画にはやはり価値があると思う。

本作を観る前に上野の岡本太郎展を鑑賞したのだけど、岡本太郎も負の感情を作品にぶつけていた。芸術は爆発と言っている、その「爆発」はネガティブな感情でも良いわけだ。
道雄の描く抽象画は揺れ動く心情と自暴自棄が相まったネガティブな行為として表現されていた。道雄はその制作心情を語ってファンを獲得すべきであるし、恋人のサチの理解も得るべきであった。それができなかったのはアートを好き嫌いで捉え過ぎているからで、美大出身ならもっとアカデミックなことも勉強してロジカルに作品制作してほしかった。

****
俳優陣の青野竜平さん、入江崇史さん、谷仲恵輔さん、山本晃大さん、片山享監督によるトークイベント付き上映を鑑賞。

入江崇史さんが芸術鑑賞での価値の置き方は人によって異なるという主旨の話の中で、ご自身の例としてピカソのゲルニカはグッと来たが、岡本太郎の明日の神話はそうでもなかったと語っていた。今日は上野の都美で岡本太郎展と藝大美術館で現代アート展を観て、下北沢に移動し、本作鑑賞。その帰り道の渋谷駅で岡本太郎の明日の神話を観た。芸術の何たるかを考えることができた一日だった。
片山享監督の作品は剥き出しの感情!や役者のいいところを引き出す!みたいな作品が多く、それが得意分野なのだとすら思ってたが、そうではないというのが実証された作品だと思う。もちろんメインの役者2人の良いところはこの作品でもちゃんと切り取られているんだけど、それ以上に物語に対してちゃんと一歩引いて見ることのできる客観性があるのだから、そっちのほうで勝負した方がいいのではと感じた。

物語に感情的じゃない分、刺さってくるセリフも多々あって、わたしは今まで見てきたこの監督の作品で1番好きだった。

『道草』に似ている作品

Ribbon

上映日:

2022年02月25日

製作国:

上映時間:

115分

ジャンル:

3.6

あらすじ

コロナ禍の2020年。 いつかが通う美術大学でも、その影響は例外なく、卒業制作展が中止となった。 悲しむ間もなく、作品を持ち帰ることになったいつか。 いろいろな感情が渦巻いて、何も手につか…

>>続きを読む

監督

脚本

肖像

製作国:

上映時間:

73分

ジャンル:

配給:

  • 松竹
3.7

あらすじ

不動産屋の金子はアトリエつきの物件を購入したが、老画家の野村とその一家が出ていこうとしない。交渉の末、ようやく空けられた2階のひと間に妾・ミドリと父娘を装い住み始めるが、追い出そうと目論み…

>>続きを読む

からっぽ

上映日:

2018年12月22日

製作国:

上映時間:

53分
3.5

あらすじ

渡良瀬まち(23)は365日朝昼晩といくつものアルバイトをローテーションするスーパーフリーター。ある日、まちはバイト先の居酒屋で自分をモデルに絵を描きたいという画家岡崎由人(19)に出会う…

>>続きを読む

猿楽町で会いましょう

上映日:

2021年06月04日

製作国:

上映時間:

121分

ジャンル:

3.8

あらすじ

駆け出しのフォトグラファー小山田は、撮影で読者モデルのユカと出会う。コケティッシュでピュアなユカに惹かれ、彼女を被写体に次々と作品を撮り始める小山田。そして二人は付き合い始め、猿楽町で撮っ…

>>続きを読む

見栄を張る

上映日:

2018年03月24日

製作国:

上映時間:

93分
3.4

あらすじ

東京で女優を目指す吉岡絵梨子(28)は姉の訃報を聞き、地元の和歌山へと戻ってくる。 そこで絵梨子は、18歳で上京して以来疎遠だった姉が、葬儀で参列者の涙を誘う“泣き屋”の仕事をしていたこと…

>>続きを読む

未亡人

製作国:

上映時間:

54分
3.4

あらすじ

「未だ亡くなれない人」ならば、どう生きていく? 芸術家としての志のために、これまで恋愛を捨てて童貞を貫いてきた、美大生の野村。自己愛と他人からの評価のはざま、友人や家族との関係、芸術や宗教…

>>続きを読む

手のひらのパズル

上映日:

2023年02月11日

製作国:

上映時間:

26分
3.4

あらすじ

金沢で生まれ育った梨沙と匠。付き合って一年半。30歳になり、周りからも結婚を囃し立てられるようになった二人は、周りの進めで同棲をすることになる。結婚を意識するようになった二人はお互いの時間…

>>続きを読む