コマミー

NOCEBO/ノセボのコマミーのレビュー・感想・評価

NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)
3.8
【民間療法】




※fans voice様のオンライン試写会にて鑑賞





「ビバリウム」の"ロルガン・フィネガン"監督と脚本家の"ギャレット・シャンリー"のコンビで描く最新作だ。
"原因不明の病"に苦しむファッションデザイナーの"クリスティーン"が、突然やってきたフィリピン人の家政婦:"ダイアナ"が勧める"民間療法"なるものを試した結果、一時は完治するまでに至る。しかし、クリスティーンは徐々にダイアナが企てる"ある企み"にハマっているのにも知らずに…。

前作の「ビバリウム」は実は私はうまくハマらなかったのだが、今回の「ノセボ」はほんとに最後まで目が離せなくて、そしてダイアナが起こす企ては、"社会的な一面を切り取った"ような衝撃的なものであった。題名にもある"ノセボ"とは、いわゆるたとえ偽薬であっても「良い効果があった」と"錯覚"してしまう様を意味する言葉だ。よく「病は気で治す」人が多いかも知れないが、それと同じようなものだ。劇中でも、ダイアナが処方する民間療法で一度は治ったと錯覚するクリスティーンだが、しばらくすればまた発症し、徐々にダイアナの企ての深みにハマっていってる。
本作は非常に人間の"心理状態"をうまく利用したホラーであり、それは「ビバリウム」でもかなり表現されてたため、このコンビの心理描写の描き方や引き出し方は半端ないなと感じた。

それに、ダイアナの企ての最終的な行き先についてだ。これはやられたし、本作が"発展途上の国民が抱く怒り"の物語だった事に驚いた。詳しくは公開前なのであまり言えないが、ダイアナがなぜクリスティーンの家にやってきて、民間療法を勧めたのか…そしてダイアナは"何者なのか"がラストで明らかとなり、本作は普通のホラーではない事が分かるから見てほしい。

ただ、少し繋げ方が荒削りかな…とは一応書いておく。

ダイアナを演じたフィリピンのシンガーソングライターである"チャイ・フォナシエル"の存在感が半端ない。怪しさを高めながらも、怒りに満ちたダイアナと言うキャラクターを見事演じ切った。

最後に、本作も「ビバリウム」同様、動物が関係している物語の為、必見の作品だ。

年末にこんなヤバい作品を見るかどうかは分からないが、ヤバいもの見たさに是非鑑賞してほしい。
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