このレビューはネタバレを含みます
ノセボ効果とは「薬として効果を持たないにも関わらず思い込みで有害事象が現れること」らしい。つまりプラセボ効果の逆。
そんな効果を "呪(まじな)い" で起こし依存させ、ファストファッションの労働問題にも切り込みつつ復讐が果たされるスリラー。
大きな罪悪感を抱えるも向き合わない主人公クリスティーンのギリギリ擁護できない感が物語の不安定さを増していた。
また、BGMも不穏さマシマシで◎。
得体の知れない状況が8割方続くが、突然現れた家政婦ダイアナの過去が小出しにされるので何となくオチの想像がついてしまったのがちょっと残念。
仕掛けは後回しで明かされた方が、もっと落差で心がいい感じにやられたかもしれない。
あとダイアナは他に恨むべき道筋があるのでは…とも思うが、工場長も焼けてしまってもう恨みをぶつける先がそこにしかなかったのかな…。
ノミで表現される寄生虫が縫製工場を食い物にするファッションデザイナーの主人公を比喩していたり、ダイアナが主人公の娘に約束した「ずっと一緒にいる」が呪いの力を継承する事を意味していたり、少し捻りのある展開はニヤリとできて好きだった。
バフが掛けられたノセボ効果による思い込みで焼死してしまった主人公だが、赤い靴 "は" 幸運なので無傷で残っているというプラセボ効果が超皮肉。