ノラネコの呑んで観るシネマ

NOCEBO/ノセボのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

NOCEBO/ノセボ(2022年製作の映画)
3.7
怪作ホラー「ビバリウム」で注目を集めた、ロルカン・フィネガンの新作。
エヴァ・グリーンとマーク・ストロングとは、前作に引き続き濃い夫婦だな。
アイルランドに住むファッションデザイナーのグリーンは、ダニ塗れの犬の恐ろしい幻影を見て以来体調不良が続いている。
そこに雇った記憶のないフィリピン人家政婦のダイアナがやって来て、主人公の生活にするりと入り込りこむ。
彼女は呪術の心得があるらしく、言葉巧みに主人公を籠絡してゆく。
やがて映画は、現在とダイアナがここへ来るまでの過去、二つの時系列を並行に描いてゆく。
前作は始まりの時点で終わりまで読めるけど、分かっていても精神をえぐられるイヤーな作品だったが、今回はそこまでのインパクトは無いかな。
ファストファッションの闇をホラーの発端にするのは新しいけど、間接的な責任をとことん追求されてもなあと言う気もする。
やはり全体が「説明」に感じられてしまうのが、一番の問題だろう。
この構造だと、どうしても物語の印象は弱くなる。
悪くはないが、ポスターに使われてるキービジュアルを超えるイメージは無かったな。