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最悪な子どもたちのyuzameのレビュー・感想・評価

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)
4.0
凄い作品だった。
最近のフランスの女性監督は
びっくりするような作品が多い印象。

構造が複雑で
パンフレットの整理された説明を読んで
初めて腑に落ちた。
見ながらモヤモヤしていた、
劇中の映画製作者の危うさや
完全にアウトな部分が、
なるほどそういう事だったのねと。

「子供がオーディションを受けて
劇映画に出演する様子を撮影する
ドキュメンタリー映画」と言う劇映画。
つまり全部フィクション。

見せられていたものは全て演技。
オーディションのシーンから全部。

そうなってくると、
演者達の信じられない程の
凄まじい演技力におののいてしまう。
ヤバすぎでしょ。

「なぜ映画は
不幸な子供を撮りたがるのか」
映画制作を志す人が持つ視点として
かなりメタな視点。

子供を取り巻く社会問題を扱いながら、
そこに出演する子供や地域社会を
勝手な都合で取り上げて、
あとは使い捨てにしているのではないか。

でもよく考えたら、
作り手としては
絶対に持ってなくてはならない視点。
そこをきちんと葛藤しているか
すっ飛ばしているかの違いは大きくて
あからさまにすっ飛ばしてる作品は
なんだこれ?ってやっぱり気づく。

この作品の構造は、
「葛藤したつもり」になってないか
まで告発してくるような鋭さ。
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