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最悪な子どもたちのVisorRobotのレビュー・感想・評価

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)
3.9
チネラヴィータ仙台で見た。意外と高齢者がたくさん見に来ていた。カンヌに対する権威はその層に対してはまだあるということだろうか。

刑務所上がり、癇癪持ちなど問題を抱える子供たちを主役にした映画を撮る様子のドキュメンタリーという体のフェイクドキュメンタリー。

俺は、前から「嘘を二重につかれたら本能的に人間は本当と感じてしまう」説を(心の中で)唱えている。「〇〇のフェイクドキュメンタリー」なら、それは嘘だが、「〇〇のドキュメンタリーのフェイクドキュメンタリー」なら、それは確からしく感じられてしまうのだ。

その最も卑近な例がドキュメンタリーっぽいAVなのだが、まあそれは別のお話。

というわけで、結構確からしく見てしまった。全員演技うますぎ!と思えるような効能がフェイクドキュメンタリーにも、実録っぽいAVにもある。それはもちろん出演している俳優の実力もあるだろうが、撮り方の特性もあるだろうし、そもそもすべてのドキュメンタリーは創作物である問題も、ある。

監督が癇癪持ちの子役を本気で怒らせるためにその心の柔らかいところ(「お前のママはあばずれだ!」といえ)まで刺して場をコントロールしようとする(フェイク映像)は、NHKの『シン・仮面ライダードキュメント』を(見てもいないのに)彷彿とした。

最終的に監督に子役がなついたように見えるが、おいこいつしんようならないよな、という目があるのでヒロイン役の17歳の女優を飲みの席に誘った時も「おいおい、大丈夫か」と思ったし、その子とラブシーンを演じるムショ上がり(無免許運転)の不良男子の気持ちもわかる。

出来上がった映画『北風に向かって』は断片断片を見る限りそんなに面白そうではなかったけれど、なんかそういうことをやってグダグダになるのっていいよな、とピカソ地区のマイナスプロモーションになると文句をいうおばさんたちなどの描写も含めて思った。
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