長年連れ添った2人にしか分からないことがある。カフタンになるシルク生地へ施す手刺繍のひとつひとつ、その目が増えるごとに重みも、これまでのそしてこれからの愛についても形作られてゆく。最後のハリムの決断と行動は窓辺のミナの呟きを受け止めたからこそかと。
同監督の『モロッコ、彼女たちの朝』も本当に良かった。今作も語りすぎないのに語りかけてくるものがすごい。
で、公開前の宣伝なりなんなりで、同性を愛する(性的に惹かれる)描写があることを伏せるのは何でなのか全然分からない。先に知ったところで作品の質が変わるわけではないのにと思います。
スクリーンから遠目の席を選んでちょっと失敗したかなと思ったのは、熱々のタジンで出てくる料理はじめ美味しそうなものが色々映るのに、はっきり見えなかったことです。色調も本当に美しいので…。