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⻘いカフタンの仕立て屋のriverのレビュー・感想・評価

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)
4.3
劇場で見た予告で、もう見るしかないと思った勘は大当たり。想像以上に愛の物語だった。

ハリム、ミナ、ユースフ、3人の関係性とそれを演じる俳優陣がとてもよい。
特にサーレフ・バクリは、妻にも言えない秘密を抱えつつ、昔気質に仕事をこなす職人のハリム役にぴったりだった。それでいてセクシーなんだよね。特に仕事をする手。パレスチナの人だというけど、いまどんな思いでいるのだろうか…

3人のアンサンブルで魅せるコンパクトな作品だけど、特にハリムとミナがどんな夫婦でどんな時間を共に歩んできたのか、安易に回想など挟まず、俳優の演技のみに委ねているあたりも素晴らしい。

そもそもカフタンづくりが時間そのもので、縁の金糸の刺繍飾りのための紐を作るために、金の糸を3本撚り合わせるところから始めなくちゃいけないのがすごい。
これが3人の関係性の象徴であり、映画のテーマでもあるのだろう。

全体に漂う品格と、絵画のような構図もよかった。
マルヤム・トゥザニ監督作品は今後も追いかけていきたいと思う。
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