うめ

薔薇の名前のうめのレビュー・感想・評価

薔薇の名前(1986年製作の映画)
4.0
 今年死去したイタリアの作家ウンベルト・エーコの長編小説の映画化。14世紀の修道院を舞台にしたミステリー。

 確かに中年の修道士ウィリアムと彼の弟子アドソのコンビが修道院内で起こる事件を解決することがストーリーの中心にあるのだが、歴史的及び宗教的背景や「笑い」に関する論争といったストーリーの周辺にあるエピソードや状況が非常に良く描かれていて、ストーリー全体に深みを加えている。

 またウィリアムとアドソのコンビもどこか良い。論理的に推理するウィリアムに対して、若きアドソは動揺することばかり。そんなアドソを優しく導くウィリアム…そんなコンビをショーン・コネリーとクリスチャン・スレーターが見事に演じている。この二人をコンビにしたのは正解だと思う。

 ミステリーの謎自体はそれほど驚くべきものではないのだが、謎を解くまでの道のりに漂う不気味な雰囲気を、映像がよく映し出してる。14世紀の石造りの修道院という閉鎖的な環境で、次々と死人が出る恐怖がよく表れていた。

 これは観て間違いない秀作。『薔薇の名前』、読みたくなってきました。
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