柿トマト

M3GAN/ミーガンの柿トマトのレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.0
9歳のケイディは事故で両親を亡くした少女。おもちゃ会社の研究員で、ケイディの叔母にあたるジェマは彼女に最新AI人形の「ミーガン」を贈るが…。

アメリカで予想以上のヒットを飛ばしたスリラー映画が半年遅れでようやく公開。すでに続編も計画されているとか。「ソウ」「死霊館」「アナベル」シリーズなどの監督として知られるジェームズ・ワンと、ブラムハウス・プロダクションズを率いるジェイソン・ブラムという、2大ヒットメーカーが製作した。

従来のおどろおどろしいホラー全開の作品とは違い、本作の前半部は至って平和で「子どもの成長には大人は何をしてあげるべきか」という問いにミーガンは的確に回答してくれる。トイレ、コップなどの躾はもちろん、親を亡くした心の傷を共感し、癒してくれたりもする。ミーガンはそんな子どもにとっての理想の友達という存在になっているのが微笑ましいのだ。

それにケイディが傷つくことに対して守ることが至上命題となっているため、犠牲者はほとんどがむかつく人間。鑑賞してる最中も「怖い」という要素より「もっとやれ」というミーガンを応援する形になるので、ホラーとしての後味の悪さは全く感じない。

ただ後半になるにつれて暴走っぷりが加速し始め、いわゆる「ミーガンダンス」をし始めたあたりからケイディを守る話ではなくなってしまったし、ミーガンの本音が言葉として出てくるあたりから、AIの恐怖の話ではなくなってしまった感じが否めない。

スリラー・ホラーの類なので人間が死にまくって、恐怖に慄く映像を作れたら十分なんだけど、もうちょっと映画として良いお話運びはできなかったものか。
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