ジェマはおもちゃ会社の研究者。最新のAIによるおもちゃの研究に熱中していた。ある日、姉一家が交通事故にあったという連絡。不幸な事に生き残ったのは姪のケイディだけだった。ケイディを引き取ったジェマは慣れない子育てに悪戦苦闘する。そこで頭に浮かんだのが研究中の人間型ロボット、M3GAN（ミーガン）だった。期待通りにケイディの最高の友達になったミーガン。全ては順調に思えたのだが徐々に暗雲が立ち込めていく…。「不気味の谷」という言葉がある。デフォルメしたキャラクターをリアルに近づける時に現れる現象だ。リアルな人間だが何かが違う。得体の知れない不気味な存在。まさにミーガンだ。この作品のような反乱するロボットものはSFの伝統的設定だが変に捻らずに王道の展開を丁寧に描いているのが良い。ただ今までと違うのは人工知能のリアリティだ。それまであり得ないファンタジーだった人工知能はChatGPTなどにより現実味を帯びてあり得る未来になっている。ケイディのミーガンへの愛着心、引き離された時に見せた癇癪のシーンは既に「スマホ依存」という形で顕在化している。新たなホラーヒロイン誕生の一作。
