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M3GAN/ミーガンのTSのレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.7
【現代のチャッキー】78点
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監督:ジェラルド・ジョンストン
製作国:アメリカ
ジャンル:ホラー
収録時間:102分
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 2023年劇場鑑賞26本目。
 思っていたよりも面白かったですよ。単純なホラー要素だけでなく、現代のAI技術に対して問題提起をしている作品ともとれました。それにしてもAI技術の進歩に驚嘆してしまいます。近い将来、本当に今作のミーガンのようなロボットが出てきそうなので、そう考えると警告映画とも言えそうです。

 ある日、少女ケイディは交通事故で両親をなくしてしまう。おばのジェマはロボット研究者であり、近々親の助けとなる最新のロボットを発表しようとしていたのだが。。

 このロボットが出来る経緯も納得がいきます。働きすぎた両親のための子守りロボットであり、確かにこれが開発されたら働き方改革にもつながるでしょう。しかし、子をロボットに任せて仕事に勤しむというのも倫理的にどうかという話。賛否がわかれそうな議論ですが、このあたりからも現代的な問題が内在していることがわかります。個人的には子育てに専念するために、ロボットに仕事を任せるのが良いとは思いますが、、ただ子守をするロボットを作るには果てしない技術と努力が必要です。今作ではそれがジェマの希望なのか夢なのか、実現していきます。

 ただ、今作を観に来ている人はほぼ全員この作品がどんなものなのか予想しているはずなので、制御できないロボットの末路を見ていくことになります。最初こそはのほほんと進むミーガンとケイディのやり取り。AIロボットなので、ケイディとのやり取りで徐々に成長していくのです。この成長がどの方向にいくのかは未知数。そもそも善悪なんて人間の果てしなき経験から生まれた倫理観の一つであり、それをAIロボットに学ばせるというのは現代の技術でもかなりの難易度でしょう。「大切な人を守るためとはいえ、人を殺してはならない」とプログラミングしても、AIロボットは様々なデータベースからそれを自己解釈してしまうので、人の予想を超えた行動をおこしてしまうのです。

 今作では確かに前半においてはミーガンを制御できていました。しかし、経験値を増やしたミーガンは、徐々に自我が芽生えはじめ、ユーザーの停止要請に従わなくなっていくのです。そうなれば、もうそこいらの普通の人間より恐ろしい脅威と化してしまいます。嘘をついても顔の細かな表情や息遣いでバレてしまいますし、データベースから過去の情報を即座にだせるため末恐ろしい限りです。

 終盤は暴走したミーガンを止めるという展開になりますが、一般人が止めるには困難な状況となります。確かに銃器を大量に装備した組織が対抗すればミーガンも勝ち目がないでしょうが、一体でこの危険度なので、集団で来られたら人類に勝ち目はないでしょう。

 さあ、こんなものを見せられてそれでもAIロボットを作りますか?と聞かれてるような気がして少し参ってしまいますね。結局は人間の都合により作られたロボット。ロボットは人間が理解できる範囲で動くから有用なのであり、それを超えてきたらただの脅威なのです。確かに自ら考えるロボットは魅力的であり、人類の叡智の到達点とも言えます。しかし、果たしてそれで良いのか。大袈裟ですが、人類が自らの手で破滅の道に向かっているようで少し恐ろしく感じます。そして、今作で起きたことはフィクションでもなく、近い将来起こりうるような出来事とも捉えられます。AI技術の警鐘を鳴らした映画としては最近では『エクス・マキナ』がありましたが、こちらの方がホラー要素が加わり、一般的にはわかりやすくなっています。まずまずの作品でした。ロボット人形が人を襲う様はまさに現代のチャッキーであり、そういう系統の作品が好きな人にはオススメできるでしょう。

 それにしても、やはりミーガンのあのダンスは印象に残りましたね。ウネウネとしたあのダンスをしてる時も無表情だったので怖かったです。あとマニアックですが、ケイディが寝る時にミーガンがデヴィッド・ゲッタの「Titanium」を歌った時はだいぶテンションあがりましたね笑 やはりクラブ脳ですね笑
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