ドラミネーター

ぼくときみの小さな勇気のドラミネーターのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくときみの小さな勇気(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

〈大人が好きそうな"いかにも"な美しい映画〉

「上手く書けない少年と、
    上手く喋れない少年の友情物語」

綺麗すぎる、くさすぎる、いかにも大人が好きそうな物語である。
結局のところ、本作の「感動を誘うシーン」は全て、子どもの気概や行動によってもたらされる。もちろん、純粋無垢な子どもが、色々と拙いながらに健気に頑張る姿は美しい。ただ、その美しさを描きたいのであれば、「大人が何もしてくれないという問題」を観客に察せさせるべきである。本作では教師にはなんの問題もないように描かれ、ディスグラフィアや吃音の少年がいじめられたり困難を被ることがあたかも"当然"であるかのように描かれているように感じられる。
結局全てを子ども頼みにしたこの映画を観て、大人たちはどんな教訓を得ればいいのだろうか。
この映画を批判的に観れた私は"反面教師"として学ぶことができるが、この映画を観て「素晴らしい。感動した。」と思った人はどんな教訓を得たのだろうか。

一方で、我々が大学で学んだり、専門書をぺらぺら捲って得る情報は、全て「理想」ということも事実である。実際に現場でそれを実現することができるのだろうか。
きっと社会で役立つ人間とは、「理想」を語り続ける者ではなく、「理想」をしっかりともった上で「現実」との折り合い色んな意味で(色んな人にとってとか、様々な場面においてとか)最適なところでつけられる者なのだろう。



〈担任への不信感〉

・担任の「はい拍手」という号令に合わせ
 て子どもたちが拍手をするという、担任
 や同調の圧力が凄まじく、「このクラス
 楽しいのか?」と思ってしまう。
・転入生が上手く字を書けない(ディスグ
 ラフィア?)ということを把握しておら
 ず、また、音読やクラスメイトに揶揄わ
 れるシーンなどからも主人公の連発性?
 吃音に対する配慮も見られない。



〈ルッキズム〉

この映画に限ったことではないが、いや、「映画」なんて狭いものに限った話ではないが、やはり主人公は顔が整っている。
どこにいってもルッキズム。
そして、それにまんまと心を動かされている自分にもまた「はあ」という感じ。
とはいえ、実際に子どもと関われば見た目なんて二の次。
初めに見た目が感情を動かすのは、生物学的に当然なのだろうか。
少なくとも、こんなことでいちいち病んでたらなにもできない。。。