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OUTのinotomoのレビュー・感想・評価

OUT(2023年製作の映画)
4.3
かつて狛江の狂犬と呼ばれ、恐れられていた不良の達也は、少年院生活を経て、親戚の叔母夫婦が営む焼肉屋に、住み込みで働くことになった。今度何か問題を起こしたら、一発OUT。おとなしく過ごしていたが、ある日ふとしたことから、暴走族の要と知り合う。そして、要が副総長を務める、斬人のメンバー、そして彼らと敵対する爆羅漢と絡むようになり、その抗争に巻き込まれていく。
監督と脚本は品川ヒロシ。

実在の伝説の不良、井口達也の体験を元にした漫画を映画化した作品。いつの時代にもヤンキー映画というジャンルは存在していて、ひと昔前には「ビー・バップ・ハイスクール」その後に「クローズ」シリーズ、令和になってからは「東京リベンジャーズ」。どれもケンカの場面でのアクションが魅せ場になっているはず。この作品では、アクションや格闘技に造形が深い品川監督が演出を手掛けていることもあり、アクションシーンはかなり見応えあり。キャラクターそれぞれの戦い方にスタイル、個性があり、他のキャラクターとは違う戦い方になっているところがいい。クライマックスの戦いの場面も良かったけど、暴走族斬人のメンバー達を要が紹介する場面の、テンポ、アクション、音楽がカッコ良くて、ワクワクした。途中に原作漫画の絵を挟みながら展開する編集や、ユーモアの匙加減、達也の叔父と叔母の思いや、仲間達との結びつきなど、感情を揺さぶる場面の織り交ぜ方なども良かった。私としては大好きな推しの姿をスクリーンで見られるだけで至福の時だったので、大満足。

主役の達也を演じた倉悠貴は、普段の様子とは違う、ギラギラした目力が印象的。脇は若手俳優ばかりのキャストで、荒削りの演技ながらも、瑞々しさが感じられる面々。その中で、要を演じたのが若手演技派の水上恒司で、名前のごとく要になっていたと思う。
今回この作品を見たのは、推しているボーイズグループのJO1から3人出演していたからなんだけど、演技にアクションにすごく頑張っていて、それだけでぐっときた。ボクシングスタイルの軽やかで躍動感あるアクションを見せてくれた、目黒役の大平祥生。寡黙で漢気溢れる圭吾を演じた與那城奨。スピード感満載の回し蹴りが最高にカッコ良かった沢村役の金城碧海。魅力満載だった。

「お前はバカだけど、クズじゃない」
何度も達也に向けられるこの言葉が作品のテーマに通じていると思う。暴走族で不良でも、クズではなくて、彼らなりの正義を持ち合わせている。そのあたりがきちんと伝わる脚本だったと思う。
ラストは続編を匂わせる展開。
続編期待してます。
またJO1を起用して下さい!アクションいけます!
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