Bew666

OUTのBew666のレビュー・感想・評価

OUT(2023年製作の映画)
3.5
悪くはないけど、全体的に惜しい作品でした。個々のアクションやテンポも良く、ちょうどいい見やすさではあったのですが、いい意味でも悪い意味でも、マンガ原作の実写化だなという印象。

主人公は定番なキャラ設定で、よくあるヤンキー漫画の主人公って感じですが、脇が結構キャラ立ちしていたので、主人公の印象が薄くなっているのが勿体無い。主人公は「喧嘩と暴力」、「馬鹿とクズ」の境界を行ったり来たりして成長していくというのはいいが、主人公発進で話が展開していくよりも、どちらかというと巻き込まれていく感じなので、イマイチ成長が見えないのが残念でした。後戻りできなくなったから、暴力を振るう選択肢しかなくなる、よりもちゃんと主人公を中心に置いて描いて欲しかったです。
正直、主人公を不良グループのリーダーにして、グループ同士の抗争という、王道展開で行った方が作品として纏まっていただろうなぁと思いました。

しかしヤンキー漫画原作の映画なのに、暴力をカッコよく見せて肯定するのではなく、暴力を否定し、それを振るう物を、「負け犬」や「ダサい奴」と描くのは面白かったです。ヤンキーの世界で話を展開するのではなく、現実の世界で彼らはどう見られているのかという、世間の目をしっかり入れている所は、今までにないなと思いました。

アクションは、見せ方等は悪くないのですが、全体的に軽いというか、緊張感に欠けるのが残念でした。
喧嘩アクションならそれでいいのですが、本作は色んな格闘スタイルを取り入れています。しかし逆にそれが原因でアクション自体が散漫になっている印象で、個々のアクションがあまり活きておらず、大勢いる中の1人という印象になっています。
冒頭のキャラ紹介で、しっかりアクションの差別化を図っていたのに、いざ本番になると、殆どが集団相手にしか使われないのは、なんだかモヤモヤします。もちろん、一対一の場面もありますが、イマイチ盛り上がらず、流れていっているなという印象。やりたい事、見せたい絵はなんとなく分かるのですが、上手くそれを映像化できてないなと思いました。

終盤に行くまでに積み上げてきたものを、ただ消化するのではなく、一つ一つ強調して欲しかったなと思いました。

素材はいいので、磨けば光るが、中途半端な輝きなので、惜しい作品だったなと思いました。

予告編から少し期待していただけに、残念です。

🙇🏻‍♂️読んでいただきありがとうございました🙇🏻‍♂️
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