ハル

OUTのハルのレビュー・感想・評価

OUT(2023年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃイカしてた。
近年の大ヒットもあり、ヤンキー漫画の実写化と言うとやはり『東京リベンジャーズ』が思い浮かぶと思う。
けれど、これはオールドタイプ。
『ろくでなしBLUES』や『湘南純愛組!』の懐かしき香りを漂わせる一作。

年少帰りの達也は喧嘩を封印。
自分を拾ってくれたおじちゃんとおばちゃんの営む焼肉屋でせっせっと働く物語…なわけはなく、平穏な日々は置き去りに族同士の抗争へと巻き込まれていく。

もうね、焼肉屋『三塁』の雰囲気からして最高なんだ。
“きたなシュラン”に出てきそうな、壁に張り紙ペタペタ、油の滲んだお座敷からして超絶うまそう。
「こいつは馬鹿だけどクズじゃねー!」
信じてくれたおじさんとおばさんのために絶対に喧嘩をしないと誓った達也なので、最後の最後まで喧嘩をしない。
でも大切な人を傷つけられ、ブチ切れて最後は大爆発!
みんなだいすき、スタンダードな王道ストーリー。
ちなみにおばさんを渡辺満里奈が演じていて、「可愛い」や「美人なオネェさん」と呼びかければ特上カルビやロースを無限サービスしてくれる。
三塁は採算度外視の良心的なお店なのです(廃業不可避!)

笑いあり、涙あり、友情ありの展開に加え、不良漫画に出てくる女は“マブい”の法則も健在。
キーキャラクターの一人である千紘を演じた与田祐希が紅一点、劇中のセリフでも達也は「可愛い」を連呼。
こうした注目ポイントがいくつもある本作最大の見せ場は敵のアジトへ乗り込み“斬人幹部”&達也が暴れまくるシーン。
『今日から俺は』の三橋、伊藤、今井、中野の四人(谷川もいたっけ?)で開久へ乗り込んだ時や『ろくでなしBLUES』の大阪抗争編で前田、薬師寺、鬼塚、葛西の四天王が乗り込んだ場面を彷彿させる(ヤンキー漫画好きしかわからないかも…)
そして、クライマックスの熱量は最高潮へ!
喧嘩で敗れた相手がチャカを出すシーンも、“今日俺”の北山を思い出させてくれたり、わかりやすい悪役に惚れ惚れさせられた。
ガキの喧嘩に拳銃を出してくるダサさ…痺れるわ。

なお、一部キャラ設定がトーマンに似ていたりもする。
総長は小柄なのに喧嘩天才系の最強金髪、副総長は心根の真っ直ぐなムキムキナイス・ガイ(水上 恒司)
マイキー&ドラケンを想起しない?
原作の発売時期的には『OUT』のほうが前かな。

昔の不良漫画が好きだった方は高確率でハマる一作。
ギャグ&喧嘩&根がいい奴の集りの“無敵三要素”揃い踏み。
鑑賞前は期待値低めだったのに、大満足の一作となった。
それにしても…以前から注目していた倉悠貴の躍進が凄まじい。
ミニシアター系作品にも多数出演していて、邦画好きとして注目している俳優。
今回も主役としてしっかり持ち味を出していたし、今後の活躍がさらに楽しみ!
ハル

ハル