手に汗握る作品で最後まで楽しめた。
時代劇や高倉健の任侠ものが好きならハマるはず。展開はシンプルで先が読めるものだが、物語のテンションが緩まず大団円まで走りきったのは良作の証だ。
特に感じ入ったのが喧嘩におけるSEの使い方。殴り合いの効果音が抑えめなので臨場感が出るし、壁や武器に叩きつけられたイレギュラーな攻撃が際立つ。個々の戦い方に個性が現れるのも見ていて楽しい。
またキャラクターとしての出色は斬人の副総長である要だろう。ただのコメディリリーフにもなりかねない役どころが、ステレオタイプの不良ではない、悩める青年として人間の深さを感じさせたことで、我々善良な市民にヤンチャな世界へ自然といざなってくれた。それはまさしくかつての任侠映画で昂ぶった観客の視点と同じものを与えてくれたようだ。
続編があるならば、ぜひ追いたい。
