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To Leslie トゥ・レスリーのEDDIEのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.9
絶望、堕落、失墜、墜落、転落、顛末…それでは言い足りないぐらい、あらゆるチャンスを棒に振ってきた一人の女。
どうしようもない主人公、その行く末は。
誰もが堕ちる可能性はある。
彼女の人生を思い返せば希望は取り返せる。傑作!

いやぁ2023年はクズ主人公が席巻していますね。
そして、アンドレア・ライズボローの怪演は素晴らしいです!
アカデミー賞主演女優賞は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のジェイミー・リー・カーティスが輝きましたが、各作品での演技を見た後だとハッキリ言って『TAR/ター』のケイト・ブランシェットか本作のアンドレア・ライズボローに獲ってほしかったものです。

これまた親子の物語としても重厚なストーリーになっていて、母と息子の関係性が実に興味深く描かれます。

宝くじで大金が当選し、人生が一変する主人公レスリー。
冒頭に喜ばしいシーンが挟まれ、その直後一気に雰囲気が変わります。ここの落差が凄い。

そしてレスリーは本作のストーリーの中で観ればわかりますが、とことんダメ人間だしダメ母親です。擁護のしようもありません。
それにはある原因も絡んでくるんですが、彼女がそれからどう再生していくのか、はたまた堕ちて朽ち果てていくのか、それは映画を観た人へのお楽しみです。

しかし、終わり方が最高に好きでしたね。
あとはスウィーニー役のスティーブン・ルートも実に素晴らしかった…声はややウィレム・デフォーみたいなしゃがれ声で、でもとても優しく包み込んでくれるような雰囲気で、本作の良心的なキャラクターでした。

人間の欲や嫉妬っていうのは実に醜いとも感じさせるし、人間はやり直すことができるんだっても思わせてもらえるし、それが主人公だけじゃなく様々な登場人物の人間模様が丁寧に描かれるのが凄く良かったですね。

〈キャスト〉
レスリー(アンドレア・ライズボロー)
ロイヤル(アンドレ・ロヨ)
ジェームズ(オーウェン・ティーグ)
ダッチ(スティーブン・ルート)
スウィーニー(マーク・マロン)
ナンシー(アリソン・ジャネイ)

※2023年新作映画87本目
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