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To Leslie トゥ・レスリーのABBAッキオのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.0
 2022年アメリカ。アメリカでも単館上映だったのに著名女優が主演のアンドレア・ライズボローの演技を絶賛してアカデミー主演女優賞ノミネートに至った作品。日本での公開もその影響があるのは間違いないだろう。単館上映で観客は多くはなかったが見に来ている人はかなりの映画好きと思う。
 冒頭、19万ドルの宝くじにあたり、喜ぶ主人公と硬い表情の息子少年。すぐ次の場面ではうらぶれた家から追い出される6年後の主人公。そこからはつらいアル中女の姿が続く。縁を切られた息子の家に転がり込んでお決まりのトラブル、かつての故郷の知人に拾われるもそこでもすぐトラブル。流れ着いたのはLSDの後遺症で変人となった男と主人公の過去を知らないマネジャーが経営するモテル。このマネジャーの男が主人公に手をさしのべるがそこでもトラブル。
 ようやく立ち直る兆しが見え始めるまでがつらいが、アンドレアの評判に違わぬあまりに自然な演技にドキュメンタリーを見ているように引き込まれる。2時間近く後のハッピーエンドは泣かされた。現実にはこううまく行かないことが多いだろうが、映画くらい希望があってもいい。どうしようもない主人公のような人間に端から共感を持たない人には耐えがたいかもしれないが、人間のどうしようもなさに共感した上で希望を見たい人にはよかったと思える映画だと思う。
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