コーディー

To Leslie トゥ・レスリーのコーディーのレビュー・感想・評価

To Leslie トゥ・レスリー(2022年製作の映画)
4.1
差し伸べられた手に気付きながらも制御不能な衝動が手を振り払い、また溺れゆく。惨めな自分への苛立ちや押し寄せる後悔を酒と反抗で紛らわすしかない彼女がドン底で省みる私自身、そして他者との繋がり…
終盤やや手軽さもあるけどそれもまた再起を灯す宝くじ。大好き!

19万ドルの高額当選に狂乱するレスリーとそんな母を不安げに見つめる息子を捉える冒頭。何かが崩れていくのを感じながらの成れの果て…少しの好転と破滅を繰り返しながら彷徨う様子を時に辛辣に、けれど親密な眼差しで見つめてるし外見だけでなく内面の崩壊まで繊細に伝えるライズボローに圧倒された。

息子ジェームズや旧友夫妻、スウィーニーなどレスリーと関わる人々のアプローチも様々で優しさだけでは救えない遣る瀬無さを抱えながら苛立ち、悲しみ、彼らも傷付いてる。割とシンプルな展開ながらその辺の見え方にも誤魔化しがないしバーで絡まれる男性の対処ひとつ取っても深い情感が伝わってくる。