ツクヨミ

銀平町シネマブルースのツクヨミのレビュー・感想・評価

銀平町シネマブルース(2022年製作の映画)
3.1
ほんのりした堕落と再生の物語を感じる映画館映画。
城定秀夫監督作品。けっこうな早撮りで職人イメージな城定監督が映画館を舞台にした映画を撮った、そんな軽ーい興味で今作を見に行ってみた。
まずオープニング、ホームレスが収拾される明らかに怪しいNPO法人に集まる3人の貧困男から廃れたミニシアターのスカラ座に場を移す、初っ端から城定監督お得意な陰キャというか底辺の人々が主人公となる雰囲気に呑まれる。
そしていつのまにかホームレスの主人公兼落ちぶれたアングラ映画監督がミニシアターに雇われる展開、ミニシアターの従業員たちと関わりつつゆったりとした日常を過ごしていくのが心地良い。また舞台となる実在の映画館スカラ座の雰囲気とビジュアルが堪らなく良い、入り口には"市民ケーン""アラビアのロレンス"上映中広告.入り口に入るとすぐに"勝手にしやがれ"のポスターや"カサブランカ"と"ローマの休日"などいい感じにあの頃を感じさせる小物の数々にノスタルジーすら感じさせる。
あと映画館映画あるあるな濃いキャラクターたち、"カサブランカ"大好きホームレスおじさん.B級ホラー映画をかつて撮りまくった映画監督.映画大好きなイキり中学生などなどキャラのアンサンブルが効きまくり。そして城定監督といえばの底辺陰キャが少しずつ再生していくストーリーが"夜、鳥たちが啼く"を思わせる余韻がまた良い。ゆったりとした話の中でちょっとずつキャラクターたちの物語が上向きになっていく、小品だがいい映画見たなと思える雰囲気と映画館愛が詰まった作品だった。
ツクヨミ

ツクヨミ