このレビューはネタバレを含みます
ラスト30分までは、どうなるものかと思った。脇役たちのしょうもなさ、楽屋落ち、劇中劇の素人臭、名優たちを含めて全体としてのクサい演技。
ところが最後にそれらのどうしようもなさが、非常に重要な伏線であることに少しずつ気がつき始めた時には、心から拍手喝采。結果的にみればシナリオのすばらしさにすっかり踊らされていたことになる。
映画好きであれば、ポスターの一枚や音楽のひとつにも、にやりとさせられ、キミの瞳に乾杯!などの台詞にもカサブランカでの記憶と同時にその後のテレビドラマなどでの流行も重ねて懐かしさを感じてしまう。
そしてあまり映画を観ないひとでも、映画の良さの一端を感じてもらえるだろう。
映画そのものへの愛と映画を好きな人たちへの愛も伝わる佳作だ。深く対象を愛することはその対象がどんなものでもきっとひとびとに響くものがある。愛することには、皆、強く共感するのだ。
それにしても宇野祥平。演技には見えない。すばらしい。