すし酢高跳び

銀平町シネマブルースのすし酢高跳びのレビュー・感想・評価

銀平町シネマブルース(2022年製作の映画)
3.5
映画好きの映画好きによる映画好きの為の作品

と言っても過言ではない程、映画愛に溢れた物語。

「シネマブルース」とはまた良い事言うわね、城定監督。
映画人生、華やかで楽しい事ばかりじゃなく、苦悩と悲しみもあるってのが表現されている、じんわり作品。

ある事がキッカケで、自暴自棄になり無一文にもなった近藤(小出恵介)は、ひょんな事から住み込みで銀平スカラ座でバイトする。

ここで出会う人々が、味があって良い。

同じくホームレスの佐藤(宇野祥平)、映画館の支配人の梶原(吹越満)、その映画館に通う人々とバイトちゃん。

この支配人が飄々として、涙もろくて、でも憎めない。だからこそ、ホームレスの近藤を受け入れたし、実は映画監督としてカルト的な人気を誇っていた事を知って、映画館60周年記念に未完成の作品を上映させようってなった。

中盤からは、この60周年記念へ向かいつつ、近藤の止まっていた人生が、再び動き出す展開。

穏やかで優しい物語。だから、じーんとするしノスタルジックな気持ちにもなる。

それに、映画が好きだーーー!って言わなくても、画面から溢れ出てきていて、映画好きの1人として、凄く私もなんだか嬉しくなったし、作中で
『映画は良いもんです』という台詞も出て来て、共感しかなくて、本当に良かった。

河原で遺骨を抱いた行列のシーンは、既視感あり。あっ、川っぺりムコリッタだ!笑

主演に小出恵介くんを持ってきたのも、良い!
彼も実力抜群だったのに、ほら。色々あったじゃないですか。東出くんと同じよ笑

でもね、人ってそれでも生きていかなきゃならないじゃない。人生って続くんだよね。

凄くそーゆー事ともリンクしている内容だったし、キャストは他にも城定組ではお馴染みメンバーが安定して出演していて、楽しめます。

映画が好きってだけで、これを読んでくれてる皆と出会い繋がれたと思う。
好きなジャンルはそれぞれだけど『映画が好き』ただ、それだけで距離が近付く。

いつも、リアルで痛々しい作品ばかり観てますが、たまにはこんな優しい作品に癒されるのも良いですよ。99分です、サクッとどうぞ。
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