柊

カンフースタントマン 龍虎武師の柊のレビュー・感想・評価

3.6
今はみんな高齢化しちゃった香港のカンフースター達。かつては破竹の勢いで映画が制作され、スタントマンも引くて数多。でも彼らの顔は映らない。それでも早回しか?と疑いたくなるような華麗なアクションを軽々と決める彼らの人間離れした技に目を見張った。
私はカンフー映画が好きなのではなくカンフーの技が好きなんだと思う。

しかしかつての栄華は今何処?香港カンフーアクション映画は既に斜陽となり、活躍する場も減れば,当然若手も育たない。そんな苦境の中で誰もが喘いでいる香港アクション界。
皮肉な事に京劇が中国本土で廃れたが故に香港にて京劇の師匠から技を伝授され香港カンフースタントマンが構築されたのに今はその本土の潤沢な資金は香港映画には回ってこない。
そこには国の事情も深く関わっているのだろうが深くは触れない。

前半は香港カンフーアクション映画の輝かしい過去をブルース・リーやジャッキー,チェンも含めて華々しく振り返るけど、だんだんと作品は哀愁を帯びてきて、アクションスタントマンの光と影が映し出される。どんなに願っても現状打破とはいかず皆細々と活動している。本当にスクリーンがセピア色に染まりそうな哀愁に満たされて寂しくなってしまう。

先行きは決して明るくはないが、それでも香港の中で映画を作る事に意義を見出し、若い人を育てようとしている関係者一同。夢よもう一度なのだ。

私はこれからも香港カンフーアクション静かに応援してます。
柊