2023年日本公開映画で面白かった順位:1/1👑
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★★★★★★
映像:★★★★★
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★
遅ればせながらあけおめです。
2023年の映画初めはカンフー映画のドキュメンタリーから!
自殺行為としか思えないアクションの数々だからこそ、世界を圧巻するクオリティになるのだと痛感する良作だった!
カンフー映画も特撮映画と同じで、ある程度の年齢以上に刺さるジャンルよね。
多分、ブルース・リーの映画をリアルタイムで観れた世代が一番そうかもしれない。
カンフー映画って、中国の古典劇である京劇とか体操出身の人が多いらしくて。
1930年代、日本の本土侵略から逃れるために香港に移住した京劇役者たちが、貧しい家庭の子供たちに京劇を教えるようになり、1960年代には香港に4校の京劇学校ができたそう。
それぞれから後に有名になるスタントマンを輩出してきたんだけど、これがさ、すごいのよ。
7歳ぐらいからそういった専門学校でみっちり訓練を積んで。
中には、代々武闘家の家系の人とかもいて。
もう文化として成り立ってるから、そりゃ世界が真似できないクオリティになるよなあと。
で、スタントマンになった人たちは、とにかく「No」とは言わない。
監督から言われたことは全部やる。
全部やるんだけど、その内容が体張りすぎ。
高さ3-4mのところから落ちるのは当たり前。
下にマットも敷かず、ダイレクトに地面に叩きつけられに行くんだから。
走ってくる車の上に落ちるのも、タイミングがズレてコンクリートに激突なんてことも。
近接戦も寸止めではなく、マジ当てなんだよ。
あれ、戦いのときに「ホワチャア!」って叫ぶのは技を忘れないようにするためらしい。
1つのカットに多いと50もの動作があって、それを全部覚えてから撮影に臨むから、次に出す技や動きを思い出すために叫ぶそうだ。
僕も小さい頃からカンフー映画に憧れはあったけど、今回観たアクションの裏側は、想像以上に痛々しくて観ていられないほど。
そんなスタントマンたちだけど、給料はよかったみたい。
1970年代の平均月収が100香港ドルだったのに対し、スタントマンは2000~3000香港ドルだったかな(うろ覚えw)。
でも、経済的に当時の香港はまだまだ貧しく、スタントマンたちも小卒なんてザラ。
他にやれることがないからとスタントをやるようになり、得た給料も飲み代に全部消えてしまったとか。
だから、一部の成功者(転職したり指導者になったり)以外は、歳とってからの生活が楽ではないみたい。
とにかく、安全対策とか今以上にそこまで考えられていなかった時代に、あそこまで体張れるのがすごかった。
日本で芸人たちが体張るのとは訳が違う。
スポーツのようにルールがあるわけでもないし、CGで誤魔化せる時代でもない。
命がいくつあっても足りないぐらい、ガチで体をぶっ壊しに行くその姿勢が凄まじかった。
中には、麻痺が残ったり、命を落としてしまった人もいるそうで。
命綱なしでロッククライミングするのと似ているかも。
そんなわけで、カンフー映画が好きな人には特に観てほしい映画。
僕たちが興奮し、熱狂したアクションは、誤魔化しが一切ない、ある意味自殺行為とも捉えられる体の張りっぷりから生まれていたのだ。