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カンフースタントマン 龍虎武師のIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

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まずは前書き。
私がレビューを書く上で気をつけていることがひとつあります。
自分にとってつまらないと感じた作品であっても乱暴に酷評はしないことです。
"酷評しない"というのは自身が感じたことに目をつぶるということでもスコアを高めに設定するということでもありません。
それが意味するのは、自分には合わずともこの作品を愛している人がいるのだということを意識してレビューを書くことであり、何より"この映画を創った方々へ敬意を払う"ということです。
たとえ興行成績が振るわなかろうが批評家から総スカン喰らおうが、懸命に製作した作品には違いなく、作品に懸けた製作陣の誇りを汚したくないのです。
(誇りも矜持もへったくれもない作品がたまにありますが、話がややこしくなるので今回は脇へ置いておきます)

長くなりましたが、さて今作。
身体一つで死の恐怖すら凌駕した香港スタントマンの足跡を辿るドキュメンタリー作品。
『レイジング・ファイア』で本物のアクションを魅せつけてくれたドニー・イェンや、その巨体でなぜ身軽なのか?監督としても才能を発揮するサモ・ハンなど香港アクションを身をもって知る面々が語る香港アクションスタントの歴史はとにかく痛い!…じゃなくて凄い!!いや、やっぱり痛い!!

私、香港アクション映画はまだ齧った程度で有名どころをつまんだくらいですが、それでもわかるヒリヒリした命懸けの現場。
最近は興行収入の寡多で作品の価値が決まってしまうような風潮がありますが、このドキュメンタリーを観たらそんなこたぁ二度と言えません。
どんな作品だってその作品を最高のものにしようと、命を削って、魂を燃やして、そのワンシーンのために全身全霊で挑む。
なかなか生活は苦しい様でしたが、そういう生き方は誇り高く憧れを感じます。
こういう誇りある方々が作品を創っているからこそ、観客も彼らにそして作品に敬意を払うべきではないのかなと感じるのです。

『Never Say No!』(決してノーと言わない)の誇りと矜持で戦い続ける香港スタントマン、彼らこそ名もなきヒーローです。


パンフレットは、劇中に出てきた香港映画作品の一覧や香港スタントマンの派閥一覧など面白い記事が盛りだくさん。
香港アクション初心者さんも読んで楽しいかと。