とらキチ

カンフースタントマン 龍虎武師のとらキチのレビュー・感想・評価

3.9
年初公開ラインナップの中で楽しみにしていた作品のひとつ。
1970年代から80年代にかけて、数々のアクション作品を生み出してきた香港映画界で活動したスタントマンたちに迫るドキュメンタリー。
元々のルーツであったという京劇から始まり、革命を起こした“ドラゴン”ブルース・リーの登場、その流れを受け継ぎブラッシュアップしていったサモ・ハン、ジャッキーと、香港映画の進んできた歩みと、その陰で主役や作品を支えていたカンフーアクションのスタントマン達を解説、紹介していく。
のっけからサモ・ハン師匠のインタビューから始まり、数々のレジェンド達の登場に観ているコチラはテンションが上がりまくる!今作で一番良かったのが、ちゃんと実際のアーカイブ映像が使われていたところ。インタビューで出演していたサモ・ハン師匠やドニー兄貴の作品はもちろん、ジャッキーの作品もちゃんと見せてくれていたのが本当に良かった。なんかジャッキーはそこらへんが厳しそうなイメージですし…(苦笑)その分しっかりと払ったんですかね(汗)。
それにしても、あのレジェンド作品のあの有名なアクションが「実はスタントで自分が演っていた」っていうエピソードの連続!香港映画全盛期の想像絶するほどの命がけのスタントシーンに今更ながらビビってしまう。あまりの危険なスタントの為に本当はやりたくないが、やらないとその後もう仕事が回ってこないという窮地に追い込まれるのでやらざるを得ない状況や、逆にどんなスタントでも平然と受け入れるアタマのネジが抜けたかのような恐いもの知らずのスタントマンがいたという事に衝撃を受ける。
そして終盤には現在の香港映画界、特にスタントマン稼業の衰退事情が語られる。
やはりCGに頼るのではなく、生身の人間が実際に演じるからこそ!というモノが絶対にあると思う。“あの頃”を知らない人も、思いっきり体験してきた人も、ぜひご覧いただきたい作品。
とらキチ

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