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カンフースタントマン 龍虎武師のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.7
1970年代~90年代にかけて多数のアクション映画を生み出し、世界の映画界に多大な影響を与えた香港映画。
ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、ドニー・イェンら世界的アクションスターが次々と誕生したが、彼らがスターでありえたのは、映画の中で彼らの攻撃を受けて派手に吹っ飛び、時にはその華麗かつ危険なアクションの代役を務めたスタントマンたちの存在があればこそだった。
サモ・ハン、ユエン・ウーピン、ドニー・イェン、ツイ・ハークほか、名だたる香港映画人たちの証言や映画のシーンを交え、そんな香港映画界で活躍したスタントマンたちの真の姿にスポットを当てる。作中では、知られざる香港映画界のスタントやアクションの歴史および裏話が明かされ、どんな危険な撮影でも“決してNOと言わない”スピリッツで挑んできたスタントマンたちの功績を称える。
さらに、香港映画界の現状にも迫り、世界最高峰のアクションを生み出してきた香港映画の光と影に迫る。
貴重なメイキングなど膨大なアーカイブ映像を交え、香港アクション映画の歴史を網羅した作品となっている。
ブルース・リーやジャッキー・チェンなど、世界的アクションスターを生み出した、香港映画界を支えたスタントマンたちの姿にスポットを当て、香港映画人たちの証言や貴重なメイキング映像を交え、香港アクション映画の歴史を解き明かすドキュメンタリー映画。

タイトルにある「龍虎武師」とは、スタントマンのこと。
香港映画が、盛んに制作され始めた当初、京劇の養成学校でアクロバットやアクションを学んだ者がスタントマンや主演を勤めていたため、振り付け重視のカンフーアクションが多かった。
そんな京劇的なアクションに実戦的な要素を取り入れ香港アクションを変えたのが、ブルース・リーだった。
さらに、リアル感を追求したラウ・カーリョンやユエン・ウーピン、コミカルな動きや演技を取り入れ危険なスタントに体当たりで挑み香港アクションのレベルを上げたジャッキー・チェンやサモ・ハン、カンフーに総合格闘技やパルクールなどの要素を盛り込んだドニー・イェン、経済的な不況や好調な中国映画に押されながら香港スタントマン協会の会長として後進の養成をしながら「香港で最も安全な撮影現場で最も危険なアクションを撮る」ことにこだわってアクション映画を香港で撮り続けるサモ・ハンの弟子チン・カーロ、世代を超えて進化し続ける香港アクションの裏側を、ブルース・リーのスタントマンだったユン・ワーやトン・ワイやジャッキー・チェンのスタントマンだったマースやサモ・ハンの弟子でスタントマンのチン・カーロの「プロジェクトA」「ポリス・ストーリー」「ドラゴン・ロード」「ファースト・ミッション」での危険なアクションシーンの裏話の数々、ブルース・リーの死後や経済的不況にあえぐ現在の香港でスタントマンだけでは食えず副業しながら保険の保障も充分ではない中で「自分があのスタントをやったんだ!」という誇りを持ってどんな危険なスタントに挑み続ける香港アクションのスタントマンの世知辛さと誇りを丁寧に描いていて、「ミッション・インポッシブル」シリーズでトム・クルーズがやる体当たりのスタントで香港アクションに興味を持った人も香港アクション映画のファンにとって必見のドキュメンタリー映画。
「決してノーは言わない。それが香港スタントマンの誇り」
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