珍念

カンフースタントマン 龍虎武師の珍念のレビュー・感想・評価

4.0
ブルース・リー、サモハン、ジャッキー、ジェット・リー。香港カンフー映画スターたちの裏で大活躍していた名もなきスタントマン達のドキュメンタリー。
映像では、我々の良く知っている数々の名シーンが俳優1人の力ではなく、大勢のスタントマン達と組み合わされる事で生まれていた事実が克明に描かれている。
鬼のような武術指導達から、決死のスタントを命ぜられ、ビルから飛び降り、階段から落下するスタントマン達の生き様は壮絶だ。

そして映画後半では香港の衰退が描かれている。お金も人も香港ではなく本土に集まっていて、もはや香港では、かつてのような映画は作れないという現実がまざまざと見せつけられる。
大物達は本土やハリウッドで上手くやってるけど、50歳を過ぎた香港のスタントマンたちは今や、その日の暮らしにも困るほど。ガタイがいいから時折警察に理由もなく呼び止められる。

本土にいる新しい世代の連中は、金持ちで頭が良さそうで安全第一。カンフーにしても、本土の若者達は高度な教育を受けているから技術は超一流だ。でも無理なシーンはCGで撮れば良いという。
貧しくてカンフーしか無かった香港の若者達。ただただ兄貴分の言うままに、ガムシャラに命をかけて働いて、その晩にギャラを使い果たしていたスタントマン達と、現代の本土の若者は全然違う。

それが賢い生き方なんだろうけど、何だか寂しい感じがした。若い頃は、もっと爆竹のはぜるような輝く生き方をしても良いじゃんね。そう思うのは、私がスタントマン達と同じようなジェネレーションだからなんだろう。
珍念

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