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イヴの総てのbluebeanのレビュー・感想・評価

イヴの総て(1950年製作の映画)
4.5
イヴの総てというタイトルですが、謙虚なふりをして嘘をつき、成り上がるためならなんでもするイヴを通して、裏側も含めた「演劇界」の総てが描かれている作品でした。

サイコパスのイヴを狂言回しとして、それに振り回される周囲の人間たちの様子が客観視点で語られます。スター女優でありながらイブの存在によって老いの焦りが膨らみ、周りが見えないヒステリー女になるマーゴ。恋人のビルはそれが分からずイヴと親しげにしてケンカになり、2人の関係に亀裂が入ります。それを中心に、いろんな人間関係の行き違いの様子を観客にハラハラしながら観せる構成は見事です。

サンセット大通りとアカデミー賞を争ったそうですが、テーマも近く、どちらも俳優の演技や脚本が素晴らしく甲乙つけ難いです。本作は救いのある展開や、ラストの象徴的な鏡のシーンなど、分かりやすく楽しめる作品としてまとまっている印象です。
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