シンタロー

イヴの総てのシンタローのレビュー・感想・評価

イヴの総て(1950年製作の映画)
4.0
ジョセフ・L・マンキウィッツ監督×ベティ・デイヴィス&アン・バクスター主演。
アメリカ演劇界の栄誉ある賞、サラ・シドンズ賞を史上最年少で受賞したのはイヴ・ハリントン。美貌と演技力だけでなく、謙虚で誠実な人柄を絶賛されるイヴ。拍手喝采の中、ある数名は複雑な表情で見守っていた…。
去年の10月、大女優マーゴ・チャニングに憧れて、毎晩舞台裏で出待ちをしていたイヴ。彼女の一途さに感心した脚本家ロイド・リチャーズの妻カレンはマーゴに紹介。イヴの身の上話に胸を打たれたマーゴは、イヴを住み込みの付き人として雇い入れる。よく働き控え目で気の利くイヴは、マーゴやその周囲の信頼を得ていく。しかし、イヴが断りもなく、マーゴの恋人で演出家のビルと連絡を取っていたことを知り、マーゴは不信感を抱き始める…。
「サンセット大通り」とこの年のオスカーを争ったことで知られる不屈の名作。どちらも銀幕の裏側のプライドや欲望、嫉妬を描いたこと。主演のグロリア・スワンソン、ベティ・デイヴィスの怪演ぶりからもよく比較されてます。ちなみに2人とも主演女優賞は逃してますが、作品賞や監督賞等6部門に輝いた本作の完勝と言われています。自分は本作の方が映画としては良く出来ていると思うのですが、女たちのドロドロがしんどくて、何度も観たくなるのは「サンセット大通り」の方かな。周りもそっち派が多かった気がします。前半はベティ扮するマーゴの乱れっぷりが最高。特に"今夜は大暴れよ!シートベルト締めてね"からの醜態ぶりがスゴイ。作品の核となる"イヴの総て"が露呈されていく後半…男女問わずイヴがムカつくの声。謙虚で控え目な清純を装いながら、のし上がっていくために恩人を裏切り、大ファンだったスターまで蹴落とし、どんな嘘も卑怯な手も使う…芸能界なら普通なんだろうけど、ここまで見せられるとね。受賞の時のスピーチなんか酷い。実際わざとらしいスピーチする女優いるしなぁ。メリル・ストリープ、サリー・フィールド、ジュリエット・ビノシュとか、あまり良い印象がないです。わかりやすくしたたかなイヴの陰で、ひそかに最低な女はカレン。八方美人で優柔不断。マーゴの親友ヅラしてオマエ最悪やんって感じ。イヴを裏で教唆しようとする評論家アディソン・ドウィットの醜悪な姿も強烈な印象です。
若い頃からつぶらな瞳が魅力的だったベティ・デイヴィス。作品のマーゴそのもの、舞台出身で数々の演技賞に輝いた大女優。加齢と共に仕事が減り始めたところで大きな転機となったのが本作。以降、再び代表作を発表するまでに再浮上し、後の多くの女優に影響を与えたとされてます。イヴを熱演したのはアン・バクスター。ミシェル・ウィリアムズ、キャリー・マリガン系の丸顔タレ目系。言うまでもなく本作が代表作ですが、性悪演技が上手過ぎたせいなのか、実力程人気が出なかった残念な方。彼女もオスカー候補になったため、ベティと票割れしたと言われてます。ちなみにマリリン・モンローはほんの端役なので、当時のポスターでは全く扱われてませんでした。
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