このレビューはネタバレを含みます
最終日に滑り込みでの鑑賞。
きっとこれを見逃していたら、二度と出会う事がなさそうな作品。本日観ることができて良かったです。
正直言ってヤーノシュは勝手過ぎる!“子どもか‼︎” と終始イライラが積もるばかりでした。ユリを“道具”くらいにしか思っていない思考に疑問符。あれで“愛”とは聞いて呆れます。お国柄や地域性とかもあると思いますが、やはりあの時代においては、ああいう男どもが一般的だったのではないでしょうか。
また、ユリはユリで変わってます。頑固な割に異性になびきやすいタイプのようで、そして芯の強い人。いったいヤーノシュのどこに惹かれたのか分かりませんが、あんなに噛み合わない相手を本気で「愛してる」と思っているのでしょうか? 他人の恋路にとやかく言うのもじゃないですが、老婆心ながら「あの男はやめておけ」と言ってやりたくなりました。
しかしどんな男女だろうと、それでも二人が「愛してる」というなら、誰もその愛に否定などできません。惚れ合うことに理屈はないのです。
二人は互いをまだ知らぬまま惹かれ合い、惚れ合ったのちに互いのことを知るようになります。
ユリ「家を建てたからこの土地を離れられないのね」
ヤーノシュ「そうじゃないよ、工場に通うためにこの土地に家を建てたんだ」
この世の理りに因果律を見つけることは時に無意味となり、どちらが先でどちらが後という正しい順番をつけることさえ虚しく思えてしまうこともあります。
この二人による“愛憎”も然り、愛する故に求めてしまい、求められるが故に自立の道を選びたくなってしまう。またそれとは逆に、ユリは元々自立した女性で、そんなユリだったからこそ、ヤーノシュはユリに惹かれてしまったのかも知れません。
それで言えば、ユリの最後の決断は女性としての自立の表れであり、最後の抵抗なんですよね。ヤーノシュに呪いをかけるようにゆっくりゆっくり9ヶ月を待つ…
ってててって言うか、あの最後ってどういうこと? そもそもこの作品の因果律ってどうなってるんですか? どうやって企画構成して脚本が書きあがったんです? もちろんあのラストの為にわざわざ妊娠したわけじゃないですよね? ということは、妊娠が先にあってからこの作品が企画されたって事? う〜ん、どっちなの? …全然分からん。誰か教えて〜!
とにかく最後は色んな意味で衝撃的な作品。
ほんと、観れて良かったです。