みんと

ナイン・マンスのみんとのレビュー・感想・評価

ナイン・マンス(1976年製作の映画)
4.0
メーサーロシュ・マールタ監督3作目。

衝撃的とのワードを目にしていたけれど、確かに!ラストは過去1番の衝撃映像だった。
そもそも、何やらホラーチックなジャケの状況が理解出来なかったけれど、観終えて納得!女性を描く、いや描ききる監督だからこそ、腑に落ちるジャケ。
そして今作でも主題が一貫しており、監督の作家性をしっかり感じる作品だった。

『アダプション』同様、主人公(ユリ)もまた工場に勤務している。が、その傍ら農学を学んでもいる。
女性達が社会に進出するも、まだまだ生き抜くには困難を強いられる時代、ユリは前パートナー(妻子ある教授)との子供が居るが、知らずに言い寄る工場の上司は子供の存在を知るとあからさまに態度が変わるのだった…

男性の女性に持つ所有欲、一方自立した一人の女性として生きたいと思う揺るぎない意思、更には子供を持つことの正当性を現実感を持って力強く描かれた作品だった。

『ふたりの女、ひとつの宿命』のリリ・モノリとヤン・ノヴィツキのコンビの相性が今作でもピッタリ。とりわけリリ・モノリのヒリヒリ演技はハマり過ぎて怖いくらい。まさに憑依の演技!
ヤン・ノヴィツキはやっぱり何処となく信用出来ない雰囲気が素晴らしい。ひたすらイライラさせられる、ちっちゃい男ぶりが絶妙。

いずれにしてもラストシーンが今作のキモ。ドキュメンタリー作家としてキャリアをスタートさせた監督ならでは。
なるほどなタイトル『9ヶ月』とセットで、記憶に残り続けるであろう衝撃シーンだった。

強烈なフェミニズム映画!
いや、このラストは最上級のフェミニズム映画と言えるんじゃないかな。
みんと

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