すい

ナイン・マンスのすいのレビュー・感想・評価

ナイン・マンス(1976年製作の映画)
4.5
自立心が強い女と家父長制に囚われた男。2人がうまくいくはずもなく。2人が宿した命はユリの胎内でただ粛々と誕生の時を待つ。

ヤーノシュが初めてユリに出会った時の、じとっとした視線の動きをなぞったカメラワークが気持ち悪すぎて鳥肌。出会ったその日からストーキングする男。会いたくないと言っているのに、「それは本心じゃないだろ」と返す男。食事に行っても無愛想で会話は弾まない。いざ体を重ねるとなると、自ら裸を曝け出すユリにたじろぐ。自分の思い通りにならないと脅す。ユリはヤーノシュのどこに惹かれたのかさっぱり分からない。お互い「愛してる」と言うが、こちらに提示されるのは2人が肉体関係を持っていたことだけ。

背景の一部として映し出された牛の解体シーンで、真っ二つにされた牛の体から湯気が立ち上ってたのが鮮烈に印象に残った。

ラストはそのさらに上をいくインパクト。モザイクはやめてほしい。
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