みむさん

はちどりのみむさんのレビュー・感想・評価

はちどり(2022年製作の映画)
3.3
ヨーテボリ映画祭にて。

3世代にわたる家族の物語、ピエルフランチェスコ・ファビアーノが演じるマルコの曖昧な記憶を元に少年時代から老年期まで年代が行ったり来たりするので労力を要するが感傷的な幕切れで余韻を引きずる。

サンドロ・ヴェロネージの同名小説に基づくとのこと。イタリアフランス合作映画でベレニス・ベジョも出ている。

同じ場所で同じ人と同じ愛をかわらず一生過ごすことを望み周囲と社会の変化や運命と折り合いをつけるのに苦労する男。
思い描いた人生を歩もうとしてもそれを妨げる出来事や避けられないことが出てくることがある。しかし、それがなければまた今の別の人生は歩めなかったかもしれない。
ある事故で偶然生き残ったことにより心に傷を負いながらもそれを理解しあうパートナーを見つけるも、また予期せぬ過去と運命が交錯する…という感じ。

場所などはあまり変わらず、登場人物の老け具合で年代を判断しながら、頻繁に往来する時間軸を把握する必要あり。ちょっとめんどくさいなと思っていると何か人生に大きな影響を与える事が起きるので、集中力は意外と途切れない。

機能不全な親のもとに育ち、自分は愛する人や場所と変わらずに生きていきたいと願うも、世界は常に変化し動いていて、マルコだけは変わらずでいいと思ってるが変化への適応は避けられない。

劇中でマルコのことをクレイジーと言う人が何人もいて、最初は軽いジョークかと思ってたが(実際言った時点ではそうだったかもしれないが)、見ているうちにマルコはやはり変わらないことと過去に囚われすぎてメンタル的にケアが必要だということもわかってくるし、精神科医(演じるのはナンニ・モレッティ)も登場するしでどうなることかと思ったら。

本人の決断とはいえ意外な幕切れ。感傷的で涙する人もいると思うし私もウルッときたが、同時にちょっと戸惑ったかな……

タイトルのハミングバード(はちどり)は主人公マルコのあだ名だが、他に何か意味するのか?と思いはちどりの習性について検索してみたところ、すべてのエネルギーをそこにとどまるために費やす、視野の変化に対応できる、一ヶ所でホバリングなど映画の内容を象徴するような事が出てきて、なるほどね…と思ったところ。

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