ミッドナイト・マーダー・ライブ
久々のメル・ギブソン主演映画だな。
結論から述べておこうかね。
全く緊迫感が無かったよ。
以下、ネタバレを含むためご容赦。
おそらく、大ドンデン返しを大前提にした逆算による脚本を考えたのだろうと思うのだが、出来すぎたトリックと、キャスト達の有り得ない仕込みにより、途中から私のテンションが急降下してしまったよ。
不足していた要素を挙げておくよ。
・予算
いわゆるワンシチュエーションだったことが緊迫感を低下させてしまっていたように思う。
・主演俳優以外のキャストが無名
歳をとって腹も出ている白髪頭の元大スターのみでは、この脚本を成立させるのは難儀であろうな。
・小細工がチープ過ぎる
ラジオと監視カメラと自爆ジャケットのみではストーリーに奥行きを持たせることは難しいであろう。
車やバスや電車などで移動をさせたり、娘が自爆ジャケットを着ているシーンを挿入したりすることにより、緊迫感は何倍にも増幅できたはずであろうに。
・登場人物が少な過ぎる
この事件に関わっている人間の数が異常なほど少ないことにより、規模感も小さくなり、まるで内輪揉めをしているだけのような矮小化された世界に見えてしまっていたよ。
単なるラジオ局のパーティー的なサプライズという制限枠が終始存在していたことにより、単なるイカれた犯人の暴走劇という小劇場を超えることが出来なかったように思うよ。
全体的に、要努力と言った印象だ。
筋書き自体はマイケル・ダグラス主演のアレとほぼ同じなので、斬新さも無く、規模とキャスティングの面でも本作の完敗のように見えるよ。
何より、本作にはテーマが何も無かったことが、最も忌むべき点であろうな。
私は『マッドマックス』の頃からメル・ギブソンが大好きで、若い頃は好きな俳優の名を聞かれた時は彼の名を上げていたほどだが、それゆえ、この映画は率直なところ頂けないな。
以上だ。