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Dr.パルナサスの鏡の一人旅のレビュー・感想・評価

Dr.パルナサスの鏡(2009年製作の映画)
3.0
テリー・ギリアム監督作。

悪魔の手から娘を救い出すため危険な賭けに出るパルナサス博士とその仲間たちの奇妙な冒険を描いたファンタジー。

『バンデットQ』(1981)『未来世紀ブラジル』(1985)『バロン』(1989)『12モンキーズ』(1995)の鬼才テリー・ギリアム監督によるファンタジーで、ギリアム節全開の摩訶不思議な映像世界に圧倒される作品。

現代のロンドンを舞台に、悪魔と不死の契約を結んだ代償として一人娘を差し出さなければならなくなった旅芸人のパルナサス博士が、一座の出し物=イマジナリウム(鏡の裏側に入ると、入った者の願望が具現化された世界が現れる)に入り込み、悪魔の手から娘を救い出すため仲間たちと奔走する…という“イマジナリウムが生み出す非現実世界における博士と悪魔の闘い&駆け引き”を、文字通りイマジネーション溢れる映像の奔流で描き出す。

ギリアムらしくお話はやや難解で少し説明不足な部分はあるが、そんな細かいことは気にするなとばかりに圧巻の映像世界で突っ走ってくれる作品なので、ギリアムが苦手(私も昔はそうでした)な人もすんなり受け入れられる作風。何より、ロンドンの現代的映像と、パルナサスの移動式劇場&鏡の裏側の想像世界の融合が不思議な魅力を生んでおり、現実世界にファンタジーが違和感なく溶け込んでいる。

ちなみに、本作は『ダークナイト』(2008)のジョーカー役で伝説となった名優ヒース・レジャーの遺作でもある。製作途中で亡くなってしまったため、代役として急遽ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルが出演を果たしている。パルナサス博士役は『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)のトラップ大佐でお馴染みの往年の名優クリストファー・プラマー。博士の一人娘に想いを寄せる青年アントン役は『アメイジング・スパイダーマン』シリーズのアンドリュー・ガーフィールド。
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