悪魔の毒々クチビル

Wira(原題)の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

Wira(原題)(2019年製作の映画)
4.5
狂犬、再び

久々に地元に帰って来た退役軍人が家族の為に街を支配する麻薬工場の奴らと戦うお話。

結構前にフィルマにリクエストしたものの、一向に追加されないので諦めていましたがいつの間にやら掲載されましたね。ありがとうございます。

まず前置きしておきたいことが。
それが今作の視聴方法。
俺はこちらをネトフリで観たんですが、本来なら今は日本では視聴出来ないのかもしれません。
というのも、元々ヤヤン・ルヒアン出演作を色々調べている中で今作を見つけググってみたら"Netflixで観る"のページがあったので、「あ、ネトフリにあるんだこれ」とそのままそこから飛んで視聴したんですね。
ただ後にNetflixから今作を探してみても出てこなくて。
そう言えば日本語字幕付いてなかったんだけど、以前も仕様の問題で同じような事があったし内容もシンプルだったので久々に英語字幕で観るかってことで気にならなかったものの振り返るとそういうことだったんかなと。
でもその割に「英雄」って邦題も付いてるし日本語であらすじ書いてあるしで、よく分からんとです。でもまぁ、良いよね?観れちゃったけど。

はい、じゃあ本編について。
こちら、マレーシアのアクション映画です。
さっきも書いた通り、主人公のハサンが昔から工場を牛耳って人々を奴隷の如くこき使っていたラジャを妹のヅァインと倒しに行くってだけの内容で、シンプルかつ雑な脚本ではありますがアクションシーンは総じて高クオリティ。
主演のハイルル・アズリンがテコンドー選手なだけあって、動きのキレが半端ない。しかも長身でムキムキのバッキバキ。
今作ではかつて無敗のボクサーだった、という設定からか超速ジャブも見せてくれます。はえー。

妹のヅァインや彼女と劇中何度も戦うヴィーと言った女性陣のアクションも格好良くて、これまたレベル高め。

で、一番の目当てだったヤヤン・ルヒアン。
今回も安定の悪役で、ラジャのボディーガードであるイフリト役での出演です。
いやぁ、これは「ザ・レイド」以来のヤヤンのベストアクションかもしれんね。
もうね、圧倒的というか最高というか。
アクションはラストバトルのみなんだけど、そのバトルが本当に素晴らしいんだ。
刀とマチェーテで攻めてくる主人公兄妹を素手で捌く立ち回りが格好良すぎてちょっと泣きそうになったんだ。
あの正拳突きのキメ画とか、完全に主人公でしょ。
そのままヅァインに喉突き喰らわして戦闘不能にしてハサンとの一騎討ちになるんだけど、ここもまた最&高。
ハサンのマチェーテが錆び付いていて切れ味悪くなっているとは言え、素手で刃を掴んだりマチェーテごと殴り倒す所なんかマジで化け物じゃないですか。
そのままハサンに「こっちの方が切れ味良いぞ」ってナイフを2本渡してナイフバトルにもなるんだけど、イフリトさん、いやヤヤンさんがハンデだと言わんばかりにナイフ1本で挑む戦闘狂な一面が相変わらずカッケー!!

これさ、上手いなと思ったのがここに至るまで結構バトルシーンあるんだけど、ずっとハサン一強なんですよね。多勢に無勢で傷を負う事はあれど、そんなことも気にせず無双しまくっていて。
そこまで強さを強調しておいて、最後にイフリトという自分と初めて互角以上に戦える存在が出てくるというお膳立てがしっかりしていますよね。
て言うか体格差が半端ないのに、背負い投げされたと思ったら綺麗に着地して逆に一回り以上でかい相手を投げ飛ばすってどうなってんのよ。
細かなフェイントの掛け合いも良かったし、途中でハサンの華麗な連続蹴りで巻き返してきたかと思いきや、ヤヤンさんもスイッチ入ったのか拳や肘だけでなくまた投げ倒すは手刀するは頭突きするはで猛ラッシュかける所マジぱねぇ。
ここのバトルが大好き過ぎて何十回も見直してしまいました。まぁ強いて言うなら致命傷を負った後の抵抗は「ザ・レイド」の方がダントツでしぶとかったかな。

その後製作された「マット・キラウ」なんかもそうだけど、50超えても尚アクションで魅せてくれる素晴らしい悪役おじさんですね。
逆に「なめてた皆に優しいおじさんがシラットモンスターだった」的な主人公パターンも、そろそろ観たいっちゃ観たいです。
ていうか映画の出演数で言ったらイコ・ウワイスやジョー・タスリムよりも多いのね。そこもびっくりでした。

脚本は例えばラストバトルのちょっと前に大勢に囲まれて絶体絶命な状況で、まさかのモブ敵皆が家族から電話で説得されて引くというご都合主義の最上位クラスの荒業を披露したりと、かなり強引ではありましたがヤヤン・ルヒアンが最高だったので俺は今作めっちゃ好きです。
あと、主にラジャがちょいちょい英語も喋るんですけどここは字幕無い上に訛りが強くて聞き取り辛い、というか何言ってたかよく分からんかった所もありました。

視聴方法に癖がありますが、ヤヤンファンは必見の内容だと思います。