みむさん

愛についての歌のみむさんのレビュー・感想・評価

愛についての歌(2021年製作の映画)
3.5
ポーランド映画祭にて。

「ONEダブリンの街角で」や「ビフォア・サンライズ」を彷彿とさせると紹介されていたが、言われてみればそうかな?という感じ。
でも音楽推しになってないのが良い(音楽ありきのドラマがあまり好きじゃないので)

偉大な親を持つボンボンのミュージシャンだが親の力は借りたくないロベルトと、歌が好きなウェイトレスのアリツィア(演じてるのはポーランドの人気バンドの人らしい)が出会う。
ラブストーリーになりそうな設定だったがそうでもない。

音楽をビジネスと趣味どちらで捉えるか、歌でお金を稼ぐか純粋に歌を楽しむかですれ違う格差カップルの話と感じた。
よく売れたバンドが音楽性の違いやら考え方の違いで解散したりするが、それと根本的に似ていた。

ロベルトはまだミュージシャンとしてそこまで成功しているわけではないように見えるが、創作に行き詰まり、父の七光りを避けていた時にアリツィアと出会う。そのタイミング!彼女が何気なく歌った歌が忘れられないって。出会いがロマンチックだった。

根本的な考えの違いはどちらかが妥協するか合わせるかしないとぶつかる。ぶつかり合ってわかりあえればよいことだけど。

ロベルトがやったことが酷くて「エー」と思ったが、それを含めた生々しく一筋縄ではいかない関係の描きかたが良い。

希望の見える前向きな終わりかたも良い。