ぱんたかはし

チョコレートな人々のぱんたかはしのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートな人々(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

とても良かった。かなり考えさせられるシーンが転がってる。「チョコレートは温め直せば何度でもやり直せる」という言葉。単純に凄いなと感じた。

街中でたまに見かけるけど、それがどういう状態から起こっているのか分からなかったチック症。この映画で初めて症状名を知り、ハッとしたのは「漁港の肉子ちゃん」に出てくる登場人物に同じような動きをする子がいたということ。この演出いるか?と思ってたんだけど、そうじゃない。知らないと怖いし、避けてしまうし、肉子ちゃんで「なんだあれは」と思ってた自分が、まさに社会なんだと思う。

夏目さんがパン屋さんをやっていた時にいた、看板娘のスタッフ。夏目さんの障がいを持っていてもそうじゃなくても、1人のスタッフとして真っ直ぐ向き合う姿勢に信念を感じる一方で、お母さんの「障がい者なんです」という言葉もすごく切実なものだなと思った。本人が本当にしんどい状況に陥るチャレンジではない、心地よく働ける環境をつくる、そして仕事を生み出すって本当に難しい。けどそこにずっと果敢に挑戦する夏目さんは経営者としてかっこいいなと思った。

ただ一個だけ思うのは、障がい者雇用は国から給付金がでる。その制度にのってビジネスする施設が、今国でめちゃくちゃ増えている。久遠チョコレートは素晴らしい会社だと思う一方で、こういうドキュメンタリーでは、一旦その事実は出てこないけど、私はこの実態については本当にこのままで大丈夫なのかな、と思っている。あまりにも増えすぎている。あれもこれもB型就労事業だった…が多すぎる。

夏目さんが「久遠チョコレートイケてるしやりたいっていう施設がいっぱいある。けど、本当に切実にこれをやりたいと思っているという人達としかやらない」って仰っていたシーンが唯一の希望。きっとこれにビジネス的に乗っかりたい人達が沢山いるんだろうなと思う中で、久遠チョコレートにはそのまま突き進んでほしいな。

この映画見る前に京都の店舗に実際に行ってチョコを買ったんですが、めっちゃ可愛くて美味しかったので、バレンタインにはみんなに買って欲しいし、合わせてこの映画を観に行くなんてコースは超おすすめです。