このレビューはネタバレを含みます
『零落』
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映画発表がされた時
原作:浅野いにお
監督:竹中直人
主演:斎藤工
音楽:ドレスコーズ
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とあったので
原作を読んでみたところ
好みド真ん中だったため鑑賞
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8年間の長期連載を終え
虚無の沼に落ちていく深澤
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編集者である妻や、自身の担当編集者は
売れっ子作家を抱え
微塵も気にかけてくれない中
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デリヘル嬢「ちふゆ」と出会い
のめり込んでいく
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という話
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竹中監督が惚れ込んだという作品なだけあって
原作の世界観をほぼ忠実に再現されていた
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不快なハウリング音から始まる
導入部分は
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これから見せられるであろう鬱展開を
より不安へと導くには
効果的だった
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物語は終始
低温火傷のように
ジリジリと進行していくが
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向き合いから
目を背けられた
一瞬の隙で起こる感情の爆発は
映像化ならではの醍醐味だ
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人の評価を生業にしている人は
精神を削って
作品を創造しているのだろう
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その過程で
周囲を傷つけ、振り回し
孤独と戦わなければならないとは
なんとも難儀な商売である
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本来
自分を分かって欲しいという欲求は
己を理解していない段階で
それを他人に求めるのは
愚の骨頂だが
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深澤の苦悩を
ココまで赤裸々に見せつけられると
全てを赦したくなるぐらい
表現者というのは
特殊性を孕んだ生き物だと感じる
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その一方で
評価という軸は
時代と共に移り変わる性質があるトコが
また厄介でもある
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エンドロールで流れた曲
「ドレミ」は
残された最後のピースがハマったように
「零落」から「絶望」へと
きっちり導いてくれた
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