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零落のFyohkoのネタバレレビュー・内容・結末

零落(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます


『零落』


映画発表がされた時
原作:浅野いにお
監督:竹中直人
主演:斎藤工
音楽:ドレスコーズ


とあったので
原作を読んでみたところ
好みド真ん中だったため鑑賞


8年間の長期連載を終え
虚無の沼に落ちていく深澤

編集者である妻や、自身の担当編集者は
売れっ子作家を抱え
微塵も気にかけてくれない中

デリヘル嬢「ちふゆ」と出会い
のめり込んでいく

という話


竹中監督が惚れ込んだという作品なだけあって
原作の世界観をほぼ忠実に再現されていた

不快なハウリング音から始まる
導入部分は

これから見せられるであろう鬱展開を
より不安へと導くには
効果的だった

物語は終始
低温火傷のように
ジリジリと進行していくが

向き合いから
目を背けられた
一瞬の隙で起こる感情の爆発は
映像化ならではの醍醐味だ


人の評価を生業にしている人は
精神を削って
作品を創造しているのだろう

その過程で
周囲を傷つけ、振り回し
孤独と戦わなければならないとは
なんとも難儀な商売である

本来
自分を分かって欲しいという欲求は
己を理解していない段階で
それを他人に求めるのは
愚の骨頂だが

深澤の苦悩を
ココまで赤裸々に見せつけられると
全てを赦したくなるぐらい
表現者というのは
特殊性を孕んだ生き物だと感じる

その一方で
評価という軸は
時代と共に移り変わる性質があるトコが
また厄介でもある


エンドロールで流れた曲
「ドレミ」は
残された最後のピースがハマったように
「零落」から「絶望」へと
きっちり導いてくれた
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