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零落のaiのレビュー・感想・評価

零落(2023年製作の映画)
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8年の連載を終えてスランプに陥り、自堕落な生活を送る漫画家。
高慢で拗らせた深澤という中年男の人生の一幕はとても興味深いものだった。
芸術家が羨ましい。どんな感情も作品に昇華させることができるのだから。
その代わりに才能がある人ほど孤独だ。
深澤がどんなに嫌な奴でも、その孤独な一面を見てしまうと愛おしささえ湧いてきた。

自分の描きたい漫画ではなく馬鹿でも感動できる大衆ウケを狙った漫画を描いて「娯楽なんて騙したもん勝ちで、売れりゃ正義ですから」なんて言ってしまったり、40過ぎて大学時代の恋人をちょくちょく思い出したり、なんとも人間臭くて嫌な奴なのに憎めない。
ラストの絞り出した言葉も、ああわかるよと思った。

ちふゆの話し方に妙な女言葉が多くて、引っ掛かって台詞が頭に入ってこないシーンがちょくちょくあった。
大学生の年齢設定で「〜なのよ」「〜なのね」とか連発しないでしょ普通。
どうしても自然な台詞には思えず、舞台チックに見えてしまった。そこだけは残念。

2024、4本目。
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