ベビーパウダー山崎

スタッツ:人生を好転させるツールのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

3.0
セレブ御用達のセラピスト、フィル・スタッツとジョナ・ヒルの対話。スタッツは弟をジョナ・ヒルは兄を亡くしている。その喪失をお互いで補完して精神科医と患者というより兄と弟のような関係でキャメラを回している。監督した『mid90s』もそうだが、己の体験を物語として見せていく、傷ついた(心の)痛みを映像にぶつけていく。役者ではヘラヘラとコメディして、自分が監督するとなると過去でもトラウマでも曝け出して「映画」と向き合うジョナ・ヒル、そのあたりはかなり信用できる。
精神科医スタッツのセラピーメソッド「ツール」、映画を見ながら俺も試してみたが不幸な人生は一向に改善しないし、映画を見ている間に従兄弟の母親が腸閉塞で緊急入院したとの連絡が来たのでろくなもんじゃない。セラピーとか馴染みもないし、よくよく聞いてみると内容もブックオフの100円で投げ売りされてる自己啓発本とたいして変わりない。セラピー、占い師、自己啓発、メンタリスト、新興宗教、相当な金と対価で得られる一時の安らぎ。